に投稿

【間伐材】戦後の国内林業の変遷と良い樹を育てるための条件

今の山林の多くは50年~60年前に植えられた樹が生えている

日本の国土は63%、およそ3分の2の面積が森林に覆われていて、世界でも有数の森林国となっています。しかし、森林の管理状態は決して万全とは言えないことをご存知でしたでしょうか?

現在、山で見られる樹々の多くは、戦後に植林されて50年~60年の年月をかけて育ったものです。戦時中の空襲で焼け野原になってしまった山肌に、戦後まもなく植林された樹々が成長して現在の姿になりました。成長が比較的早いスギや、高級木材として利用されるヒノキなどが植えられています。

植林された樹々は、植えてすぐに木材として使用できるわけではありません。最低でも50年、できればそれ以上の年数をかけて成長した樹でなければ、木材を切り出すのが難しいのです。

そのため、戦後に植林を行った山林の所有者の方々は、50年、60年後の将来に樹を伐採することを見越していました。しかし、様々な要因から、その計画に不具合が出てきてしまっています。

戦後植えられた樹が育つより先に、安い外材の輸入が増えた

戦後に植えられた樹が育って国産材として使えるようになるより先に、海外から安い木材が入ってきてしまったのです。建築や家具などを作る需要に対して、安い外材が沢山使われるようになりました。

また、戦後に植えられた国産材はすぐに使用できないため、国内の需要を満たすためには国産材だけでは数が足りなかったという事情もあります。こうした状況で、安い外材の利用が増え、国内の林業は衰退を余儀なくされました。

一部、日本にもともと生えていた原生林には樹齢300年から400年といった大きな樹もありますが、外国から輸入される木材と比べると値段が高いのが特徴です。そのため国内では、木材の利用には主に外国産のものが使われるようになっていきました。

良い木の条件は「真っすぐ」「太く」「節が無い」こと

育てた樹が木材として使えるようになるためには条件があります。良い木材が切り出せる条件は、真っすぐで、太く、節(ふし)が無いということです。戦後に植林された国産材がきちんと利用できるようになるためには、この条件を満たした成長度合いの樹を増やしていく必要があります。

真っすぐに育った樹からは、長い木材を切り出すことが可能です。極端に言えば、樹が大きく育ったとしてもS字に曲がったような形をしていたら、短いパーツしか切り出せません。建築などで使用する大きなサイズの木材を切り出すためには、真っすぐに育っていることが重要です。

また、真っすぐであったとしても、細い木からは良い木材が切り出せません。十分な太さのない樹は「小径木(しょうけいぼく)」と呼ばれ、柱のような細い木材を1本1本切り出す用途でのみ使われます。利用価値が全くないわけではありませんが、1本の樹から切り出せる木材の数が太い樹と比べて少なくなってしまうため、効率が悪いです。

さらに、節が無いことも良い木の条件の1つになります。節とは、木の枝が生えているところにできる出っ張った部分のことで、節がある樹はでこぼこしていて利用が難しいです。利用価値の高い良い樹に育てるためには、節ができないように定期的に枝を切る「枝打ち」という作業が必要になります。

枝打ちや間伐にはコストが掛かり、十分に管理できていない山林も

これらの条件を満たした良い樹を育てるためには、枝打ちや間伐を定期的に行い、山林をベストな状態に保つことが大切です。しかし、山林に入ってこれらの作業を行う木こりの業者数が全盛期の10分の1程度にまで減ってしまっていることや、山林の所有者の世代交代などによって十分に管理できていないところもあります。

十分に間伐ができていない森林では、2メートルから3メートルほどの間隔で樹が密集してしまうことが問題です。樹の太さは根が張っている範囲に比例して太くなっていく性質がありますが、間伐されずに密集してしまった樹は、お互いの根がぶつかってしまい十分な太さに育ちません。

樹が細くなると木材としての利用価値が低くなってしまうだけでなく、根が弱いことから土壌も緩くなり、土砂崩れしやすくなるなどの危険も発生します。土砂崩れが起きると使える樹も減ってしまうため、しっかりと管理することが大切です。

国産材の需要を増やし、樹を育てて使い、植えるサイクルが大切

細く育ってしまった樹でも、今から間伐を行えば5~6年かけてしっかりした太さに成長させることができます。たとえば、1,000本ほど植えられている細い樹を間伐して500本ほど残し、地表への充分な日照を確保しつつ育てれば、全体としての材積の量を増やすことが可能です。

また、太く育った樹はCO2の吸収能力も上がるため、環境保護対策にもつながります。

そのため、間伐材の利用などで国産材の需要を増やし、再び植えて育てるというサイクルが大切です。私たちフロンティアジャパンの活動は、間伐材を使ったノベルティグッズ製作を中心に、日本の森林再生に貢献することを目的としています。

ぜひ、国産材の利用という形で、日本の林業や森林の再生にご協力いただければ幸いです。
間伐材を使った企業のノベルティ製作はフロンティアジャパンにお任せください。

一覧へ戻る