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【森林業界】最新のドローンによる山林計測で”眠れる森”が”売れる森”に変身

ドローンによる山林計測で、眠っている資産が可視化できる!

山林に植えられた木は50年ほどの年月を経て、木材として利用できる太さに育ちます。しかし、現在日本にある私有林の中には、所有者の世代交代などで十分に活用できていない山林資源も多いです。

植林された木は伐採して初めて収益化につながるため、放置されてしまっている森林は“眠れる森”のような状態といえます。

この眠れる森をきちんと管理して、”売れる森”へと変えるために、最新のドローンを使った計測技術が注目されています。所有する山林に生えている木の本数や樹高、それぞれの木の太さを測定するために、ドローンによる山林計測が有効です。

また、森林の状態が細かく測定できるメリットは、眠っている山林資源の可視化だけではありません。放置されてしまっている森林を管理することで、土砂崩れなどの災害を予防する効果もあります。

今回は、眠れる森を売れる森に変身させる最新のドローン計測技術についてまとめました。林業の活性化に繋がる情報について、ぜひ詳しく知っていただければ幸いです。

これまでの測量方法と比べて、ドローン計測はコストと手間が小さい

高い精度で山林計測ができる産業用ドローンが活用され始めたのはごく最近です。従来は調査員が徒歩で測量したり、航空機からの空撮写真を使ったりして山林の状況をチェックする方法が主流でした。しかし、徒歩による測量では広範囲を調査するために長い時間がかかることや、航空機を飛ばすためには莫大なコストがかかることなどのデメリットがあります。

こうした従来の測量方法と比較して、産業用ドローンを使った山林計測は、より小さなコストと手間で活用できる点が魅力です。山間部の測量したいエリアに計測用のドローンを持ち込み、指定した範囲を飛行させるだけで詳しいデータが取得できます。

調査員による徒歩の調査では山林の全範囲をくまなく調べるのが現実的でないため、従来の方法では10m四方を調査し、そのデータから山林の資源のおおよその分量を概算していました。一方、ドローンによる最新の山林測量なら、エリア内に含まれる木々の情報を正確に把握することが可能です。

木の1本1本の高さや太さまでデータ化して管理できる

山林に生えている木々は膨大な本数があるため、すべての木のデータを手作業で管理するのは大変です。しかし、産業用ドローンを用いた最新の山林計測システムを使えば、木の1本ごとの樹高や太さを自動的にデータ化できます。

山林計測に使われる産業用ドローンは、センチメートル単位の精度で飛行し、空中からの写真を撮影することが可能です。この画像データを特別なプログラムで分析することで、エリア内に含まれる木の先端を1つずつ割り出し、樹高と太さを記録していきます。

分析された木々のデータは、一般的な事務でも使われる「エクセル」というソフトで扱える形式で出力することもでき、様々な用途で利用可能です。所有している森林の正確な情報が分かれば、土地の資産価値を評価できるようになります。また、取得したデータを用いて3Dモデルによるマップを製作できるのも、最新技術の特徴です。

ドローンで山林測量する際の大まかな流れ


高い精度で山林測量ができる産業用ドローンですが、山林を撮影してデータ化するまでの流れは比較的シンプルです。飛行するルートをプログラムで指定して、ドローンを飛行させ、撮影したデータを専用のソフトで分析します。

飛行するルートを指定する方法には2種類あり、単にエリアを決める場合は「GoogleEarth PRO」というソフトで測定地域を囲うだけで完了です。Kmlファイルと呼ばれる形式のデータをGoogleEarthで指定すると、その通りのルートでドローンが飛行します。

一方、地形認識モードと呼ばれる方法でドローンを飛ばす場合には、GoogleEarthのデータに加えて、国土地理院の発行する地形データが必要です。このモードでは、山林の地形に合わせて飛行する高度を変えながら写真撮影ができます。国土地理院のデータを含めてエリア指定する場合は、精度が高まる分だけ少し高度な設定が必要です。

撮影される画像は10ヘクタールの範囲に60枚で、撮影完了後に専用のソフトで1つのデータに統合します。このソフトで、測定したエリアを3Dモデル化したり、1枚のマップに落とし込んだりすることが可能です。

最新技術の活用が林業の活性化につながります

山林計測で産業用ドローンによる空撮を使う事例は新しく、今後の活用が期待されています。放置されてしまっている山林をきちんと管理することは、林業全体の活性化にとって有益です。2019年にスタートした「森林経営管理制度」をはじめ、今、林業を盛り上げる動きが活発になってきています。

産業用ドローンを用いた森林の可視化技術を使えば、眠っている森を最大限活用し、さらに多くの木々が植えられるという好循環が実現可能です。林業の活性化に繋がる最新技術の活用に、ぜひご期待ください!

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