2024年6月5日に国連の事務総長グティエレス氏は、「化石燃料企業の広告を禁止すべき」と発言してニュースとなりました。気候変動はたしかに大変な問題です。
とくに昨年。まるでタガが外れたかのようにはじまった夏の過酷な暑さは、記憶に新しいと思います。これは世界的に大きな問題となっています。
さて、そのグティエレス氏の発言のなかで「タバコ広告が規制されたように」といった言葉もあり、「あの事務局長、化石燃料がタバコ広告みたいに規制されたらどんな顔するだろう」と思いつくままコラムを書います。
遡って2005年にタバコ広告が規制されたとき、個人的にはタバコを吸っていないので「へー」という感じでした。ただ、タバコのパッケージに大きく健康への影響が表示されはじめたこともあって記憶に残っている方も多いのかなと思います。
タバコ広告規制の影響は、直接その対象となる企業だけでなく、スポンサーなどで関わるスポーツ団体、スポーツチームと案外と幅広いものがありました。
よくよく思い出すとF1では、このタバコ広告規制の影響が大きかったようで……
タバコ関連企業からスポンサードを受けていたチームのマシンではスポンサー撤退にあわせてカラーリングが大きく変わったり、チームによっては運営自体が覚束なくなったり、と大きな影響をまざまざと見てきました。
今回のテーマ「化石燃料広告規制」ついて、それがどんな影響を持つのか?タバコ広告規制で起きたことを踏まえて、化石燃料の企業や関連企業の広告がタバコ広告規制とほぼ同じレベルで規制されたときに、起きうる可能性をあれこれと、ゆるっと考えてみたいと思います。
化石燃料広告規制
さて、化石燃料広告規制は、気候変動対策の一環として提案されています。
いろいろ言われてはいますが、化石燃料の使用は温室効果ガスを発生させてしまうことにつながりがちです。
そのため、かつてのタバコ広告規制のときにもあったように広告によるプロモーションを制限することで、消費の抑制とクリーンエネルギーへの転換を促進する狙いがあるようです。
今回の化石燃料広告規制は、あくまで国連の事務総長の発言であって法的ものでもはなく、あくまで国家へ「ちょっと考えてみない?」とする程度のものと思っておくとよさそうです。
ただ、今後はどうなっていくのか?はわかりません。タバコ広告規制の時も最初は小さく始まり最終的には規制がおおきくなりました。
タバコ広告規制との比較
世界保健機関が中心となって世界各国での広告規制になりました。
先にも書きましたがF1や世界的なスポーツイベントのスポンサーを徹底するなどの影響がありました。
似ていることとしては、タバコ広告規制が「健康被害をなくすこと」化石燃料広告規制が「気候変動などでの健康への影響」たしかに、今年の夏も相当やばい暑さになりそうで、健康が脅かされるレベルです。
異なる点としては、タバコ産業は主要な主幹産業というよりは、娯楽に近いものであるのに対して、化石燃料は主要な産業、主幹産業で規制による影響がとてもつもなく広く、大きく、深いことです。
そのため、規制に向けて国際的な合意は相当ハードルが高いものだろうなと思います。
ただ、中長期ではどうなっていくか、環境意識が高くなってきていることを踏まえると、規制が進んでいく可能性は年を追うごとに高くなっていくかもしれません。
広告規制の経済的・社会的影響
次に、仮に化石燃料の広告規制が進んでいったとして、タバコ広告規制をもとにしての経済的、社会的な影響をさっと予測していきたいと思います。
この規制がはじまれば石油やガス会社は広告を出せなくなるため、売上が減る可能性があります。
タバコ広告規制で規制前2002年と規制後の2005年の売り上げデータで数値が明らかになっている企業を参考として上げると
大手PM社
- 規制前 (2002年): 659億ドル
- 規制後 (2005年): 520億ドル 78%にダウン
大手RJR社
- 規制前 (2002年): 150億ドル
- 規制後 (2005年): 135億ドル 90%にダウン
上記のようにビフォアフターで78%〜90%に売り上げが落ちているデータがあります。
結構な経済的インパクトです。化石資源の事業はこれよりも大きなインパクトが予想されていて、ChatGPTを用いての分析を軽くするだけでも約2倍近い影響が及ぶ可能性があります。
次に、社会的な影響として、これらの会社がスポンサーをしているスポーツチームやイベントへの影響についてです。
タバコ広告規制では、F1にとっても大きな影響がありました。それまでスポンサー支援をしていた企業が軒並み撤退してしまって影響が強くありました。
化石燃料系の企業がどこまでの範囲になるかは不明ですが、社会的な影響の代表としてスポンサー関連をターゲットに話を進めると、プレミアリーグではちゃめちゃにつよいライトブルーのクラブや、リーグアンの競合クラブ、今回もF1チームに影響が強くありそうです。
一方で、プラスになりそうなものとしては、再生可能エネルギー産業になりそうです。電気や車のエネルギーをより環境に優しいものに変える動きが加速すると思われます。
とはいえ、ソーラーパネルが森のなかに乱立している現状は本当にカーボンニュートラルになっているのか?など評価をあらためないと、結果としてむしろ環境にマイナスになっているということも十分にありえます。
ノベルティや販促に与える影響
ここでは、2つの軸で影響を書いていきます。1.広告規制の対象になりそうな企業のノベルティや販促への影響 2.広告規制が社会全体に与えるであろうことでノベルティや販促への影響です。
1.広告規制の対象になりそうな企業のノベルティや販促への影響
どこまでが規制の対象となるのか?これが不明のためあくまで参考として読んでいただけると幸いですが、仮に「タバコ規制」と同レベルと規定した場合の影響について見ていきます。
規制対象の企業自体やロゴ、商品や商材をアピールするようなノベルティは厳しくなる。と考えられます。一方で、エコフレンドリーな活動、植林やカーボンニュートラルな取り組み、生物多様性などの保全といったことのアピールは制限されないため、企業のブランドイメージ向上としてそういったサスティナブルなグッズでのノベルティや販促配布が多くなりそうです。
2.広告規制が社会全体に与えるであろうことでノベルティや販促への影響
こちらは、社会全体に与えるであろう影響についてです。タバコ広告規制のあとで起きたような社会の規制をはじめ、それに合わせて段階的に街中での喫煙の規制や、飲食店の禁煙が広まったりといったことを考えると、販促やマーケティングにおいて化石資源系のアイテムを敬遠する流れは起きてきそうです。
ざくっと、考えるとポジショントークバリバリで「あえて言おう!手前味噌である」という前提で発言すると「木」のグッズはそんな規制のなかでも問題ないです。
とはいえ気になること
販促などに限ったことではないですが、エコです!サスティナブルです!!と謳ったサスティナブルタンブラーが結構販促界隈では人気です。
ただ、環境にやさしいと言いながらその実は、海外製造で日本から自然素材を輸送しなくてはいけなかったり(もちろんここの炭素排出は見逃されていることが多い)、プラスチックなどに混ぜる自然素材の配合比率がとても低かったりして実態が伴っているんだろうか…と首を傾げるものもままあります。
化石資源広告を規制することは社会への影響が半端なく大きいことです。その代わりになるといって環境にやさしいとされる自然再生エネルギーにも一部で実態は伴っているのかを問うニュース(カナダの原生林皆伐と日本のバイオマス発電本当にカーボンニュートラルと言えるのか)もあったりします。
拙速にことを決めずに、確かな情報、確かな運用実績などをもとに慎重にことを進めていってほしいと思っています。
まとめ
化石燃料広告規制の提案は、気候変動対策の一環として注目されています。ただ、あくまで国連の事務総長が「ロングシュート決めたらどんな顔するかな…」的にまだまだ妄想ベースで発言したレベルのようなもので、具体的な議論が進んでいるわけでないです。
一応、その狙いは「温室効果ガス排出を抑制、クリーンエネルギーへの転換を促進」で、かつてのタバコ広告規制と同様に、広告の制限により消費の抑制を目指しているのではないか?と言われています。
ただ化石燃料産業は、主要産業であるため規制の影響はタバコ広告規制より圧倒的に広く強いので、タバコ広告規制のようには進まないだろうな。という予測が立ちます。
仮に、規制が進めば、石油やガス会社は広告を出せなくなります。タバコ産業では、広告規制後に売上が78%から90%まで落ちたデータがあり、化石燃料産業でも同様の、もしくはそれ以上の影響が予測されます。
また、仮にタバコ広告規制進んだとするとスポーツイベントやチームへのスポンサーシップにも大きな影響が及び、プレミアリーグやF1などで支援が減少する可能性があります。
あくまで、国連事務総長の発言の一つではありましたが、今後の動向、とくに先進国の動きがどちらに向いていくのか?前向きな動きがあるのか?で未来が変わりそうです。
今後の動向については、私たちも継続的に追いかけていきます。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。
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