デフレスパイラル、失われた30年をこえて時代は、あらたなインフレ時代へ……
インバウンドや円安情勢が続いたことで輸入品を中心に、どんどんものの値段が上がってきています。
アメリカでは、日本でもよく食べられるハンバーガーが千円を超えたり、ファストファッションのTシャツが一枚5千円になっていたりと、そのインフレはまさに生き馬の目を抜くような圧倒的上昇率。
日本でも、電気代、食品(オリーブオイルなど)でどんどん価格が上がってきています。
これがぐーんといっきに進むと、もう家計圧迫。にっちもさっちもいかなくなります。
これが、急激にインフレがすすんだ状態で、いわゆる「悪いインフレ」と呼ばれる状況です。
1970年代のオイルショックはこんな感じの経済情勢だったといいます。
ただ、インフレ自体はゆるやかであれば景気には良いものと言われているので、デフレからの脱却というプラスの視点も踏まえつつ、これからのインフレ時代に合わせて、どんな商品やサービスが市場に受け入れられるのかをはじめ、販促手法やノベルティのあり方について書いていきます。
デフレからインフレへの経済状況の変化
さて、日本はバブルが崩壊してから、ここ最近までずーーーーっとデフレが続いてきました。
失われた30年
という言葉もある通りで、この30年。賃金はほぼあがらず、消費につながらないため価格を下げないと商品が売れない。ということもあって、当然物価も下落。
懐かしい言葉で、デフレスパイラルの大渦に飲み込まれて以来、どっぷり肩までつかり、ふやけるほどの長風呂をかまして完全にのぼせた状況。
やがてくるインフレ情勢(いやすでに…)に向けて何をどうしたらいいのか。ちょっとよくわからないぜ。という声もたくさん聞こえてきます。
これから先、デフレからインフレにどのように変化が起きるのか?について、まずはいろんな専門機関の声をまじえつつインフレ率の今や、推移の予測を見ていきます。
インフレは、すでに…
日本はすでにインフレです。2024年は2.24%前後のインフレ率となると見込まれています。
なお、2023年のインフレ率は、3.27%上昇。ちょっときつめの上昇率でした。
これにあわせて最近話題になったことで覚えている方も多いと思いますが、ファストファッション大手やアパレルブランドでは圧倒的な給与水準、それ以外の大手企業でも新卒採用の給与平均が数十年ぶりにあがったと話題になりました。
人手不足の売り手市場で、給与をあげないと優良な人材が集まらないなどで、すでにインフレの動きが観測できます。
また、世界情勢もこのインフレに関わってきます。
例えば、ウクライナ情勢、中東の緊張といった地政学的な要因をはじめとして、温暖化による農作物の不作、気候変動による輸送網への被害、環境配慮でこれまでの化石資源系の発電から自然再生エネルギーへの転換などの環境経営においての要因と、さまざまにものの価格が上がるフラグがバンバン立っています。
では、これから日本はインフレにばっこん巻き込まれて、デフレスパイラルならぬインフレタイフーンに巻き上げられて際限なくものの価格が上がってしまって、物が買えなくなってしまう!というと、ちょっと違うようです。
昨年の3%台の上昇はアメリカや欧州の急激なインフレの大波を受けてのもので、そのアメリカや欧州のインフレの大波もちょっと落ち着いてきています。
2024年以降は、デフレのような情勢にはならないけど2%推移のいわゆる緩やかなインフレを維持しながら。という予測となっているようです。
日本銀行「経済・物価情勢の展望(2024 年1月)」
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401a.pdf
日本のインフレ率の推移
https://ecodb.net/country/JP/imf_inflation.html
急激なインフレと、緩やかなインフレの違い
世界的には年2%程度のインフレは景気にとってむしろよいとされています。
この年2%のインフレを緩やかなインフレとして、それを超えるインフレを急激なインフレと定義したときの経済や社会への影響の違いについてそれぞれ見ていきます。
緩やかなインフレ(2%程度)の影響
経済の予測可能性と安定性
緩やかなインフレは、経済活動に一定の予測可能性をもたらし、企業や消費者が長期的な
計画を立てやすくなります。これにより、安定した経済成長を支えることができます。
債務の実質負担軽減
わずかながらも一定のインフレは、時間が経つにつれて債務の実質的な負担を軽減しま
す。これは、特に公的な債務を持つ政府にとって有利な状況を生み出すことがあります。
雇用の促進
緩やかなインフレ環境下では、企業が価格を少しずつ上げることができるため、利益を維
持しやすく、それが雇用の創出につながることがあります。
インフレするぞ、するぞ!と言われても、いまいちピンときませんが、2%くらいのインフレが持続することは上のような経済効果が見込ます。
もちろん、景気への波及が起きるのは、”企業が従業員に給与反映をしてから”になります。(ちら… 弊社の経営層をチラ見しつつ)
急激なインフレの影響
貯蓄の減価
急激なインフレでは、通貨の価値が迅速に低下するため、貯蓄の実質価値が減少します。
これにより、個人の財産が目減りし、経済的な不安定さが増すことがあります。
賃金・価格のスパイラル
物価の急激な上昇は、賃金要求の増加を引き起こし、それがさらなる価格上昇を促進する悪循環(賃金価格スパイラル)を生み出す可能性があります。
投資の不透明性
インフレが予測できない場合、長期的な投資計画が立てにくくなり、企業の設備投資が抑制されることがあります。これにより、経済成長の鈍化につながることがあります。
急激なインフレになるのは、いろんな要因がありますが、過去の事例を考えると1970年代のオイルショックはもちろん、記憶に新しいあの流行り病による都市のロックダウンなどで流通が滞ったことでのウッドショックと、特定の商品やサービスで急激なインフレが起きています。
こちらは、いつどうやっておきるのか?については、なかなか予測が難しいこともあるので、地政学などでリスク予測をしておくなどがよいかもしれません。
世界のインフレ情勢のいまとこれから
つぎに世界のインフレについて振り返りつつ、今とこれからについての予測をみていきます。
世界の、とくにアメリカの圧倒的インフレのきっかけは2020年から世界的な流行り病が原因といわれています。
2021年のインフレ率は、アメリカで5.1-7.4%台の上昇と圧倒的な上昇が見られました。
Pew Reserch Center
https://www.pewresearch.org/short-reads/2021/11/24/inflation-has-risenaround-
the-world-but-the-u-s-has-seen-one-of-the-biggest-increases/
2022年は、7.99%
2023年は、4.13%
と強烈なインフレについてこれず市場が混乱していることも世界情勢のニュースなどで聞こえてきます。
ただ、これも2024年は2.91 %と緩やかなインフレに戻りつつあります。
欧州では、アメリカと同様に流行り病の影響に、さらにウクライナ情勢でエネルギー問題が大きな要因となってインフレ傾向がいっそう強くなったといいます。ただ、これも落ち着きを見せてきて現在は2.6%と落ち着きをみせています。
European Commission
https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-euro-indicators/w/2-01032024-ap
アメリカ、欧州の中央銀行はともに、この水準を維持する方針でいるので、大きな何かが起きない限りは、日本に圧倒的インフレの大波が来ることはいまのところはなさそうではあります。
インフレに向けて企業が取るべき対策と戦略
もうすでのそこにいるインフレを、丁重にお出迎えするにあたって、どんな対策、戦略をもって進めていけばよさそうかを考えていきます。
この対策、戦略については、一律、これをすればOKというものはありません。
なので、ざくっと中小企業と大手企業とで、それぞれの対策と戦略を。やがてくーるーそれぞれのー交差点をーー♪と、それぞれの視点で見ていきたいと思います。
大手企業の対策と戦略
多様な供給源の確保
2021年ごろには、サプライチェーンを国内回帰させるような動きが日本の製造業で強く見られました。
サプライチェーンの国内回帰は?
ただ、基本的には緩やかなインフレの維持を目標にして政策がとられていることや、欧米のインフレ状況も落ち着きをみせていることもあるので緊急性は低いのですが、急激なインフレ起因となりそうな潜在的地政学リスクに備え、国内外での生産拠点の多様化を進めることでいざというときにも対応できるようになると思われます。
価格戦略の再評価
緩やかなインフレによる市場変動に応じたいまの価格戦略を定期的に見直し、適切な価格設定を行うことが求められそうです。
デフレ時代に市場にうけた、安くて、みんなにうれしいような低価格でコモディティ戦略的な商品から、プレミアム商品の開発や、差別化によって高付加価値戦略をとることで価格上昇の影響を緩和することが考えられます。
これはすでに起きていることですが、インバウンドなどで高価格でもお客様が買ってくれています。ほかには、テーマパークの夢の国でも単価がどんどん上がっていますが、来場者は減っていません。こういった状況が維持されていくと、一般市場にも波及して高価格なものが受け入れられるようになってくると言われています。
ブランド強化
これと言ったら〇〇と、お客様に認知していただける状態をつくれるかどうか?がこれからの市場では一層重要になっていくと思われます。
先の価格戦略にもつながりますが、エヴォークドセットとしてお客様にしっかりと認知がされるかどうかが大手企業の売り上げにおいての軸になると思われるので、ただしいブランド強化をはかることが大事になってきそうです。
中小企業の戦略
市場ニッチの活用
インフレ情勢では、大手がより強くなっていきます。研究開発費はもちろん、市場への広告露出も圧倒的に強く、より強化されていきます。
となると、直接大手と戦わないように、それなりの規模で特定のニッチのニーズに応えて市場の一部を獲得したり、市場を細分化して自社の強みで大手とも戦えるところを狙うといった、弱者のマーケティング視点、ランチェスター戦略などの対応が重要になりそうです。
地域社会との密接な関係
資源を集中的に主要都市圏以外の地方や地域に特化した複合的なビジネスモデル展開、地域社会との連携を深めることがこの対応になりそうです。
いわゆるコングロマリット経営の地方特化版です。地元での口コミや信頼を資産として活用することで、強大な資本に対抗します。
といった感じになりそうです。
もちろん、DXといいますかデータ活用×AI といった近代化をしていかないと、インフレ対策以前の話になってしまいます。
また、いまのところは一部上場企業を中心にしておこなわれる環境や社会への配慮を経営戦略に取り入れるといいったESG経営もこれからの時代には中小企業にもじわじわと求められていきます。
インフレ情勢での販促やノベルティは?
緩やかなインフレでは、一般的には購買力は比較的安定しているといいます。
ですが、30年ちかくデフレのなかにいた身として、ここ数年の値上がりについては肌感ベースでは「いや、電気代…お前、高くなったなぁ……」と久方ぶりにあった甥っ子にビックリする感じがあります。
というわけで、市場には多少値上がりしても購入意識はあるものの、ながく続いたデフレ情勢で築きあげられたコスト意識や価値観から「わかっちゃいるけど…」な抵抗感のある状態。
それが、2024年25年のインフレ初期消費志向の予測と言えそうです。
この市場特性にあわせて販促、ノベルティを展開する戦略的なアプローチが求められます。
もう手前の味噌が「いやー今年もいいお味噌ができましたよぉ。」とこねくりにこねくりをまわしつつお伝えすると、SDGsをはじめ世界的に移行しつつあるESGなど環境経営にあわせて、環境に優しい素材を使用したノベルティや、長期的に利用できる実用的なプロモーション商品を提供する。が結構ガチ目に戦略として合っていると思います。
これから強くなっていく消費者の環境配慮意識を介して興味を引きつつ、自社のブランド価値も高めことができます。
ぜひ一度、ノベルティグッズたちもご覧下さい。
まとめ
先日あるインフレと経営に関するセミナーに出席してきまして、営業妨害にならない範囲でお伝えすると、インフレのさなか商品の価格を上げてもお客様から受け入れられる戦略について、ある夢の国を参考にするとわかりやすいと言っていました。
世界的なテーマパークですが、値上げをどんどんしていますが来場者はむしろ増加。
一人当たりの売り上げ高もかつてないほど。といいます。
ただ、これは単に値上げすれば、そうなるというわけではなく、値上げすることでもっとよくなる。新しい体験ができる。ということがお客様に理解されているから。といいます。
このあたりをしっかりと押さえていれば値上げをしても、大きな問題にはならない。といいます。
また、価値というと、便利になる。早くできる。などの機能的な価値が一般的に取り上げられがちですが、かつて世界を席巻したソニーのウォークマンのようにかっこいい。おもしろい。といった情緒的な価値によって市場を刺激してきた事例も確かに存在します。
機能的な価値は数値化、計測しやすいもので、こちらに偏りがちですが、インフレが進む社会では、この情緒的な価値が事業の成否を決めるかもしれません。
賛否はありましたが、お祭りやアーティストのライブなどでも、高額なプレミアムシートで特別な体験できるものが始まっていたりしていますしね。
と、こんなところで今回のコラムを終えたいと思います。
このコラムが皆様のなにかに役に立ちますと幸いです。
では、ありがとうございました。
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