
今回のお客様インタビューは、クラシエホームプロダクツ販売株式会社プロフェッショナル事業本部様(以下 クラシエホームプロダクツ様)です。
ホテルや旅館に設置するシャンプーやコンディショナー、ボディソープの木製什器と、その反響をもとにOEM化粧品でも採用いただいたホテル向けアメニティ化粧品のPOPスタンド兼ディスプレイ什器を製作させていただきました。
クラシエホームプロダクツ様は、「いち髪」「HIMAWARI」など、誰もが一度は聞いたことのあるシャンプーやコンディショナー、トリートメントのブランドを展開されています。
かくいう私の家族も、いち髪の愛用者です。
さて少し話は、それますが世界的にSDGsをはじめESGなどの環境配慮が企業の経営に影響を持つ時代です。
それは、ホテルや旅館などでも同様で、海外訪日観光客いわゆるインバウンドのお客様はもちろん、国内のお客様にもその傾向が見られてきていると言います。
そんななかで、私たちの環境やサステナブルなノベルティグッズをはじめとしたものづくりで培ったものや、人と木の魅力を届ける上で大事にしていることがクラシエホームプロダクツ様の什器にどのように貢献したのか?
クラシエホームプロダクツ販売株式会社 プロフェッショナルマーケティング部 係長 野津謙太様に詳しく伺ってきました。
お客様インタビュー
クラシエホームプロダクツ販売株式会社
プロフェッショナルマーケティング部 係長
野津謙太様
ホテル・旅館に求められる「環境対応 × 空間調和」

ホテルや旅館・温浴施設でも設置できるように「いち髪」ブランドを出して欲しい!
その要望を受けて、一般販売されている「いち髪」をホテル・旅館向けにリブランディングするプロジェクトが始まりました。
いち髪は、ブランドとして主にF1層にむけて開発されていることもあり、そのまま高級志向のホテルや旅館に設置となるとすこしブランドトーンが合いません。
ラグジュアリーなホテルや格式を重んじる旅館では、配置する家具や什器、備品、アメニティと、細部に至るまでブランドの世界観や空間に調和することがもとめられます。
そんなホテルや旅館に設置されるシャンプーやコンディショナーは、単なるアメニティグッズとしてではなくブランドの世界観を崩さず、空間への調和がとれる什器も合わせて「体験の一部」として設計されることが前提となってきています。
そこでホテルや旅館向けに、一般販売では期間限定であった「春めき(桜)の香り」のいち髪をホテルや旅館向けにリデザインして展開。
パッケージも黒いマットな外装に桜のイラストをあしらい、桜の日本らしさと高級感が両立しています。
ホテル・旅館専用につくられた今回のいち髪をはじめ、今回の木製什器も、そんな空間性や体験の一部となることを損なわないデザイン性が求められました。
そして、デザイン性に加えて、もうひとつ問われたことが環境対応です。
いち髪をホテルや旅館向けに提案していくなかでは、どうにかして競合製品との差別化をする必要がありました。
もちろん、先のホテル用のデザインや一般販売されていない桜の香りといった商品の魅力での差別化もあるのですが、それだけだとなかなか選ばれるテーブルに乗りにくいといいます。
きっかけとしてホテルや旅館がこれまで以上にサステナブルであることを求めてきているという背景があります。
「ホテルや旅館から、環境配慮やサステナブルってどうなっていますか?って聞かれるんですよ。」(クラシエホームプロダクツ販売株式会社 プロフェッショナルマーケティング部 係長 野津様)
この声にもしっかりと応えるため、一緒に設置する什器も空間調和だけでなく、環境対応(サステナブル)にもこだわることに。
環境対応は、ホテルや旅館の購買担当の方からだけでなく、宿泊されるお客様にもサステナブルな取り組みをしているかどうかで、旅先やホテルを決めるって人も増えてきているといったお客様の消費動機の変化を示すデータなども参考に、検討が進められたといいます。
とくに、インバウンドでも高級なホテルや旅館を選ばれるお客様をはじめ、日本でも若い世代を中心にしてですがその傾向があるといいます。
今回の木製什器は、そんな環境対応と空間調和の二つの両立を目指して作られました。
開発のきっかけと素材選定
「“プラスチック”では空間に浮いてしまう。」
これまでにシャンプーなどアメニティグッズの提案では、プラスチック製品など検討・提案がされたといいます。
ですがプラスチック製品は、ラグジュアリーなホテルや旅館においたときになかなかデザイン的にブランドトーンにあわせにくかったり、フォーマルで高級感をベースにした空間調和という観点でも少し合わないものになりがちでした。
それは環境対応・サステナブルなプラスチックでも同様だったといいます。
例えば、環境対応のされたプラスチックの代表でもある再生プラスチックや自然素材を配合したものでは、ホテルや旅館の購買担当の方は理解ができても一般のお客様の認知は低く、エコ認証のロゴマークや説明を読まないと理解ができないということがネックになったといいます。
「直感的に”一目で環境にいい”を求めると木しかなかったですね。」
ホテルの購買担当者や市場のニーズに、社内からは 「他社との差別化」を図るための販促物をという声。
社外と社内からの要望の両方に応えるかたちでこの木製什器の構想が生まれました。
素材選びの段階で重視されたのは、今回開発されたホテルや旅館向けのいち髪のコンセプトでもある桜と空間性の調和です。
“春めき桜”という今回のホテルや旅館専用にデザインと香りを設えた、いち髪のコンセプトをもとに、
桜のもつ香りのやさしさを直感的に表現できること。
それでいて素材が丈夫でありながら軽やかさもあること。
お客様のニーズでもある和風旅館やインバウンド対応ホテルとのブランドトーンや空間に調和し、サステナブルにも配慮できること。
そして、他社ではまだやっていないことを。
「ヒノキも候補にありましたが、ずっしりとした高級感に比べて、桜は“溶け込む”柔らかさがありますね。」
こうして、いち髪の桜フレーバーに合わせて桜の木を用いた木製什器の開発が始まりました。
機能性と品質へのこだわり

さて、そんな木製什器ですが、ある問題があります。ホテル・旅館の現場では、水回りでの使用が前提となるということです。
そのため、開発にあたっては耐水性はもちろんのこと、水が溜まらないこと、排水性が高いことが求められました。
せっかくおしゃれなデザインに仕上がってもすぐに傷んでしまったり、水はけがわるく什器や設置したボトルなどがカビてしまったりしては意味がありません。
まずは什器の底面に小さなゴム製の底上げの脚を採用してゴムの足で設置したときの安定性と水はけ、通気性をしっかりと確保。
次に、シャンプーやコンディショナーのボトルをおく設置口にも、ゆるやかながら排水ができる水勾配と、三本の排水穴を設置しています。
そしてもちろん全体には、塗装による加工でしっかりとした耐水性も実現しています。
クラシエホームプロダクツ様でも自社内の試験機関で長期テストを繰り返し、カビなどが増加しないことを確認されたといいます。
こうした取り組みで納品後も「大浴場や洗面台での使用には問題ない」との評価が続き、導入いただいたお客様からも大浴場のようなハードな環境でも問題なく使えているとのことです。
「木材什器は初めてのチャレンジでしたが、完成品を見た瞬間、“これはいける”と思いました。手に取ると高級感が違いますよね。」
社内でも「すごいね」「木でここまでできるのか」と驚きの声があがったり、いち髪ブランドを立ち上げた上司の方も喜んでくれたそうです。
広がる共感と社会的価値
完成した木製什器は、和の世界観を持つ旅館や高級ホテルの特別室などで採用が進み、観光経済新聞にも取り上げられています。
「一日一組限定の特別室」など、空間づくりにこだわる宿泊施設から特に好評を得ているとのこと。
実は、桜材と“春めき桜”の香りは、単なる演出ではなく、間接的な社会貢献にもつながっています。
香料の提供元である「春めき財団」への寄付が行われることで、桜の植樹活動を支援。
「この香りを使うことで、少しでも自然に還元できるのは嬉しい。」と、採用いただいたホテル側からも共感の声が寄せられています。
環境対応が「特別」ではなく「当然」となる中で、“心地よさ”と“社会性”の両立が、新しい付加価値を生み出しています。
サステナブルは、”選ばれる理由に”
「ホテルの現場で“やっぱり木のほうが気持ちがいい”といった声をもらうと、本当に嬉しいですね。お客様の体験価値を支える部分でもあると思います。」
ホテル・旅館業界でも、環境配慮は「選ばれる基準」へと変わってきているといいます。
環境対応については、クラシエホームプロダクツ様は会社として意識し取り組んでいらっしゃいますが、特にこのホテル向け事業では、環境配慮がないと導入できないケースが増えているといいます。
「購買担当者からも「この商品はどうなの?」と質問されることが多く、サステナブル対応は必須になっています。」
また、一部の売り上げを社団法人春めき財団への寄付を通じた、植樹活動につながるなど社会貢献にもつながる取り組みで、環境配慮の什器の採用がそのままストーリーを併せ持つ選択となりました。
ホテルや旅館と“共に育つ”サステナブルデザイン
今回の木製什器は、単なる什器というよりも「共創の象徴」としての意味を持っています。
設置いただいたホテル・旅館の現場からも、「お客様の目に自然に馴染む」「写真映えがする」など、空間価値の一部として高く評価されているそうです。
この木製什器をきっかけにして、クラシエホームプロダクツ様でOEM製造したホテル向けアメニティ用化粧品の展示什器にも木製の什器を採用していただきました。
木を用いることで、これまでになかった注目を集め、販促に貢献しているなど新たな広がりを見せ始めています。

「こちらも初回発注後すぐに追加相談もあり、一定の反響があったことを感じています。OEMの代理店さんとも連携し、“木でこんな販促物ができるんじゃないか?”という発想から形になりました。」
POPの作り込みも含めて、ここまで気を配っている例は業界でも少なく、自然と目を引くデザインに仕上がっています。
まとめ – 感覚で届くサステナブルと温もり
「“木”はやっぱり直感的に温もりを感じる素材。サステナブルと同時に、温かさや安心感を届けられるのがいいですね。」
クラシエホームプロダクツ販売株式会社様が今回の什器づくりを通して体現されたのは、“環境対応を見せる”のではなく、“感じてもらう”というサステナブルのあり方でした。
ホテルや旅館を訪れるお客様は、商品の説明書きを読まなくても、その場の空気や香り、触れたときの質感から、「なんか心地いい」と感じ取ることができます。
その「感覚に届くサステナブル」を、いち髪ブランドの世界観とともに表現されたのが、今回の木製什器です。
“木”という素材がもつぬくもりと、“桜”が象徴する日本らしさ。
そして“香り”という五感を通じたストーリー
これらが調和することで、ホテルや旅館の空間全体がひとつの体験として貢献できているとすれば私たちもとてもうれしいです。
「担当の方が自宅で、使っていただいて”大丈夫そうです!”といった報告や、すぐにサンプル、試作など対応していただけてとても助かりました。」
ちなみに、今回の提案にて弊社スタッフが、テスト施策を実際に自宅で試用したフィードバックがあったり、サンプルや提案などのスピード感のある対応も今回の決め手だったと伺っています。
木のもつ、自然なぬくもりややさしさはもちろんですが、人と人が関わるからこそできることや伝わるものがあると私たちは考えています。
人と、木、森のもつ魅力をクラシエホームプロダクツ様の木製什器を通して、お届けできているとしたら、とても嬉しいです。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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