今回お客様インタビューに協力いただきましたエステー株式会社様は、主に消臭芳香剤、防虫剤、除湿剤などの商品を展開。わたしたちの暮らしの中で、”空気をかえる”ことでうまれる小さな笑顔をつくりだしてくれます。
わたしも、ねこを飼っていて長年トイレの臭いに悩まされてきました。
あれこれと、いろいろな臭い対策を施してきましたが、鉱物系のものはうちのねこがアレルギーなのかくしゃみが出てしまって使えず、天然のものはなかなか吸水性がよくなかったり臭いも最初はいいけど長くつかっているとイマイチだったりと、悩みが解消せずなかば諦めていました。
エステー様のある商品をつかってからはニャンとも清潔。におわなくなり、砂の成分も天然由来でねこのくしゃみもなく、「ふふっ」と快適に毎日を過ごせています。と、まわし者的な話はここまでにしますが、ほんとうに助かっています。
暮らしに寄り添い、忙しい仕事の合間や毎日の生活の中でふと感じる瞬間を空気から快適に、心地よく、笑顔に変えてくれる。
そんなエステー様のコーポレートフレグランスのギフトBOXの開発に携わらせていただきました。
コーポレートフレグランスだけでなく、企業パーパスやサスティナブルな取り組みについて、エステー株式会社 R&D本部エアケア開発部の高野様と谷様にお話を伺ってきました。
インタビュー
エステー株式会社
R&D本部エアケア開発部
高野 孟様
谷 美里様
根拠に基づくコーポレートフレグランス
「あえてエステーっぽくない商品を目指したんです。」
今回、携わらせていただいたコーポレートフレグランスは、「北海道産トドマツ」から抽出した成分をブレンドしたエッセンシャルオイルを中心に作られています。
「実は、このコーポレートフレグランスは、AI 解析をもとに香りがつくられているんです。」
エステー様のグループ会社である株式会社コードミー様のAI 解析を用いて、エステー社員や関係者へのインタビューやパーパスなど、集められた3万を超える“エステーらしさ”のテキスト情報の形態素解析を実施。香りの中にビジョンやアイデンティティが表現された、まさに「コーポレートフレグランス」となっています。
オイルとそのエッセンシャルオイルを垂らし香りを楽しんでいただけるアロマウッドディフューザーに、企業のパーパスが書かれたパーパスカードの3つが一つの箱に入ったもの。
この3点を引き立てる燻みグレーの外装箱に、ゆったりとした余白を設けて配置することで高級感がある仕上がりに。
そして、箱を開けた時に商品が一度に目に入って、箱のフタがどのように開くと「一番ワクワクする感じが伝わるか」、「ふふっと笑顔になるか」のフタを開ける”一瞬”に徹底的にこだわったといいます。
コーポレートフレグランスには“社内にパーパスを浸透させる”という重要な役割を表現するために様々な試作をもとにテストもしています。
「開けた時に、”一目でパーパスがわかり、ふふっと笑顔になる。”をコンセプトに試作品をつくり、部署の若手社員を集めて実際に手に取り、開けてもらって、どれが一番ふふっと笑顔になるか?をテーマにアンケートをしたんです。」
試作品には、お菓子の箱のようにフタを差し込むような形や、スライド式で横に開くもの、商品の置き方も箱に木をウール状にした緩衝材を詰めたものなどと、さまざまに検討を進めていましたが、アンケートの結果から、もっとも高級感があり開封もしやすいと、磁石留めの箱にすることに…
磁石留めの箱は、磁石の数、強さ、配置がとても重要で、少し変わるだけで、開けた時の感触は大きく変わります。この磁石についてもコンセプトを基にしっかりとこだわりました。
予算や時間の制約があるなかでも、コンセプトに徹底的にこだわり、納得のいくものを追い求めた結果、今のコーポレートフレグランスの形がもっとも気分が上がって、ふふっと笑顔にしてくれるとして、最終的な商品となりました。
トドマツへのこだわり
エステー様がトドマツにこだわるのにはある調査結果にあります。
それは、森が持っている空気を綺麗にしたり、心地よく感じさせてくれるいろんな力に注目した調査。
「日本各地の森で様々な樹種について調査を行った中で、トドマツの枝葉が空気を綺麗にしてくれる成分を多く含んでいることがわかりました。」
「トドマツの枝葉はいままでは放置されていました。その未利用資源を有効に使用してくことになりました。」
ちなみに、エステー様のエッセンシャルオイルは、品質に徹底的にこだわっています。
一般的にエッセンシャルオイルを抽出する際には、水を熱して水蒸気を木や植物にあてて成分を抽出する「水蒸気蒸留」という手法が使われるのですが、100℃近くの熱がかかるので精油が劣化したり、余分な成分まで抽出されることがあります。一方エステー様では、マイクロ波減圧コントロール蒸留をいう手法を用いて抽出しています。
この手法では、減圧状態にすることで水蒸気蒸留よりも低い温度で抽出でき、効率よく成分を抽出できます。さらに減圧状態をうまく制御することで、空気中に広がりやすい成分から必要な成分を選択して抽出し仕上げることができます。
私も香りを試させていただきましたが、朝日が木々の隙間から差し込んでくる森のなかを歩いていると、自然の香りが風に乗ってとどく。あの一瞬の心地のよさがぎゅっと集まったような、澄み渡る瑞々しさを感じました。
そんなトドマツを用いた香りに合わせてディフューザーやパーパスカードもすべてトドマツを用いてつくっています。
アイテムの評判について
エステー様では、中期の経営計画や企業のパーパスを対外開示することははじめてで、今回のコーポレートフレグランスを含めて、それらを広めていくという目的があったため、今回の商品開発はこれまでとは違うフローになりました。
通常の商品開発では企画や調査がまとまると社内のデザイナーに預けて、こういう方向性でと進めるようなのですが、今回はほぼ全てのプロセスを任せてもらえたといいます。
「エステーらしさということでトドマツを使うこと、アロマを垂らす何かで。という感じで、あとはもう自由に、細かい仕様も特になくて…」
そうしてできたコーポレートフレグランス。手描きのトドマツ(モミ)の葉をモチーフとしたナチュラルなデザインを施しています。ちなみに、一般的なエゾマツは樹形が下向きに葉がつくのに対して、トドマツは、樹形が上向きに葉がつく特徴から、パーパスの明るい気持ちの表現をこの手描きの葉にこめています。
そんなコーポレートフレグランスは、社内外の人から「いい意味でエステーっぽくなくていいね」、「高級感がある」と評判。
蓋を開けた瞬間、商品がずらっと並び一瞬で「ふふっ」と笑顔になる。エステー様のパーパスが体現されたかのような仕上がりとなっています。
そしてやはり気になるのは、今回のお仕事で弊社がどれだけお役に立てたのか?というところ。
「いやもう、こちらから提案をしてください。という前にいろんなこういうのができます!と資料や試作をたくさんつくってくれて本当にうれしかったですね。全てのレスポンスもすごく早くて」
なかでも、使わずに捨ててしまうというトドマツの丸太の中心部分をディフューザーとして使用できたこと。今回のコーポレートフレグランスのコンセプトはもちろん、捨てられてしまう未利用資源の使用というサスティナブルな目的にもしっかりと合わせることになり、採用の大きな決め手になったと言います。
まとめ
エステー株式会社様事例インタビューでした。
パーパスや経営計画を広めるためのアイテムとして、コンセプトをしっかりと意識しながら、自然の木を用いて一つにまとめ上げられていてとても完成度の高いアイテムでした。
少し話は変わりますがここ数年、SDGsだけでなくESG経営で社会と環境に配慮することが企業価値につながるといった背景や、プライム市場に上場をされているような企業では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準じた情報開示が求められるなど、環境経営は大きなうねりとなって押し寄せてきています。
欧州などに進出している企業様からは、「環境や社会に配慮しないと企業経営ができない。」や「販促物も完全に環境配慮のものにする」といった声があがってきています。
エステー様も、もちろんサステナビリティに取り組まれています。
今回のコーポレートフレグランスも未利用の枝葉から抽出したトドマツのエッセンシャルオイルを使用したり、中期の経営計画として脱炭素の取り組みなども公開しています。
また自社規格にて、原料や容器包装などでプラスチックの使用量を減らしたアイテムにマークをつけていて、この基準をどんどん広めていると言います。
私たちの生活だけでなく、地球にも心地よい方に、空気をかえていく。そんな想いがうかがえたインタビューでした。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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