
どこの自治体でも公共工事や道路維持の工事の影響で、どうしても”切らなくてはいけない木”というものは出てくるものです。
ここ数年のSDGsやサスティナブルな環境意識の高まりもあって、この切った木を再生利用したり、再資源化するというアップサイクルに積極的に取り組んでいるという自治体も多いことと思います。
今回のお客様インタビューをさせていただいたアイテムは、この”どうしても発生してしまう切らなくてはいけいない木”として、品川区「かむろ坂」の桜の木を用いて作られたサスティナブルプラスチックのタンブラー。
このグッズづくりについて、品川区防災まちづくり部 道路課 道路維持担当 干川はるか様にお話をうかがってきました。
切らないといけない桜の木
かむろ坂(品川区小山台1~西五反田4)は、山手通りに面する坂道のことで、江戸のはじめごろにある遊女のおつきの禿(かむろ)が、暴漢から逃げるためにこの地の池に身をなげたことにその名が由来しています。
いまのかむろ坂は、坂を中心にして道路沿いにソメイヨシノの桜並木がずらっと立ち並び、桜の季節にはお神輿も出て賑わう区内のお花見の名所として地域の内外から愛されています。
一方で、このかむろ坂の桜並木には、ある問題もあります。
それが、桜が高齢木となってきていて、近年の異常気象で強くなってきた台風や雨風で倒れてしまう恐れがでてきていること。
品川区では、樹木健全度診断委託を行い、樹木医の方の診断を参考にしつつ、できるだけ桜の木を切らないように対応をしてきましたが、倒木の危険が高いものや道路支障のおおきなものを順次、わかい桜の木へと植え替える更新工事などの対応を進めてきました。
そんななかで、今回グッズとして用いられた桜の木も、樹木健全度診断の結果から切らなくてはならなくなり、かむろ坂の桜の木をつかったものづくりがはじまったといいます。
伐採木、支障木の様々な活用

もちろん、こういった桜並木の木などの地域に愛されてきた木については、切るとなると反対の声もあがります。
以前は、切らないで欲しいといった声も聞こえてきたといいますが、地域の住民の方には「工事によって歩きにくかった道路が改善されたり、近年の台風の規模が大きくなったことなどもあって、倒木による不安も大きいので」と更新工事や道路維持でもたらされる安全で安心な道路になるなどで地域からの理解は進んでいるといいます。
また、近年の環境意識の高まりや自治体のSDGsやESGへの対応もあって、これまで品川区様では、道路維持などの公共工事でどうしても切らなくてはいけない木というものが発生した際には、捨てずに活用を進める再資源化、アップサイクルも進めてきました。
例えば、再資源化施設にて、建設材料等へ加工する再資源化が一般的な活用方法。
今回の桜の木についても、一般的な再資源化を予定していましたが、今回の桜の木を切る地域の町内会長さんの声もあり、地域の方にとって記念になる様なものにできないだろうか?と模索することになりました。
前例のないグッズづくり
区内の工事などで木材加工会社の方に聞いても、棚やテーブルなど家具のような大きな加工をする会社が多く「ちょっとした記念品のようなグッズもつくれはするけど、大量生産でなければ難しい」と断られてしまうなど。
街路樹などの伐採木を、なにか形のあるものにしようと思っても、どこの会社にどのように依頼をしたらいいのか?は、前例も多くなくかなり難航したといいます。
そんななか、いまから6,7年くらい前にかむろ坂の桜並木の更新工事で、伐採した木材をつかって記念品をつくったことがある。という記録を頼りに私たちのところへと相談するに至ったといいます。
「当時の記念品は、今も道路課に残っているのです。」
ノベルティグッズや記念品のように、小さな小物を作れるということで今回の事業に則して進められそうということもあってお問い合わせをいただくことになりました。
桜の木でつくられたグッズの評判

今回、かむろ坂の近隣にある小学校の児童にアンケートをとって何をつくるのかを決めたといいます。
児童からの声は、コップのほか、定規やくつべら、お箸など日常的に使えるものが多く、なかでもコップは毎日つかうもので、振り回してもケガをしないとあって特に人気があり、コップとしてもつかえるタンブラーが選ばれました。

Kitto+ 木粉のタンブラー
https://eco-pro.ne.jp/product/jb534-1/
通常は、私たちの木工加工で発生するおがくずや端材を、木粉にしてプラスチックへ混ぜてつくるのです
が、今回は、かむろ坂で伐採された桜の木をパウダー状にしてプラスチックのなかにまぜてつくっています。
「当初は樹脂でつくられていて木っぽくないかな。とおもったのですが、しっかりと桜の風合い、重厚感が感じられますし、木を粉砕した時の名残がタンブラーの表面に垣間見えて、桜の木をつかったこともわかるのが
今回の記念品とてもよかったです。」
小学校への納品は「品川区立小山台小学校 開校70周年記念」のお披露目となるようで、子供達へのお披
露目はまだですが、町会長さんからはとても評判がよく、他の町会からもほしい!という声が挙がっていると
いいます。
まとめ
品川区かむろ坂にて、道路維持工事にて発生する桜伐採木を生かした記念品インタビューでした。
こういった木の再利用だと、一般の方のお手元に届いて、愛着を持っていただける。伐採木の活用で選択
肢が広がるのはとてもよいですね。といった声もいただきました。
先にもあげましたが、公共工事では道路維持や公園管理。ここ最近では防災関連でどうしても発生する切ら
なくてはいけない木というものがあります。
なかには歴史もあったりで、地域の住民から愛着がある木を切らなくてはいけない時もあります。
そんな木を思い出として残せるように活かした記念品として配布するという選択が全国に広まるといいな、と
思ったお客様インタビューでした。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。
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