毎年2月ごろになると、中国をはじめとするアジア圏では旧正月、春節といった長期のお休みがはじまります。
毎年この時期は、それらの国々では工場生産も止まってしまうこともあって、弊社に「いやーあちら春節なんで…」と多くの相談をいただくことがあります。
ただ、海外製造の価格と弊社の価格差は大きく、なかなか合わないこともあるのでたいていの場合はお断りをさせていただくことになるのですが…
こういった国々の習慣や慣例だけでなく、数年前の世界的な流行病によるロックダウンの影響で国内回帰の流れはピークを迎えました。
当時書いたのが工場の国内回帰、サプライチェーンの国内回帰です。
いやはや、当時は完全に工場が止まってしまって、住宅会社では建具やドアが入ってこない、ユニットバスが入ってこないといったことや、ボイラーなども部材が入らず修理もままならないなどの問題がおきました。もちろん衛生関連グッズの不足は、ドラッグストアに長蛇の列をつくるなどとんでもないことなっていました……
旧正月や春節、国慶節をはじめ世界の国々は日本とちょっと異なる価値基準や商習慣があります。
企業が海外に製造拠点や生産ラインを設けるときには、それら価値基準や商習慣の違いによって起きる問題は当然のこととして想定していると思いますが、それらを超えた非常事態には想定していないことが発生したりします。
また、春節や国慶節がある国ではなかったと思いますが、かつてある国で起きた問題として、製造コストを下げるために老朽化した建物に労働者や機材を詰め込んだ結果、その建物が倒壊して多くの犠牲者が出て大きな問題になりました。この件では、世界的なスポーツメーカーの人気商品がこの建物で生産されていたこともあって世界的なスポーツメーカーの人権面の問題が問われ不買運動へとつながりました。
最近、記憶に新しいことでは某ファッション大手がある地域の原材料を用いていたことで、人権面の問題が問われて不買運動や株価の暴落などの問題が起きてニュースになっていました。
ということで、ちょっと強引ではありますが、たしかに海外製造は労働力を抑えたりで安くものをつくれはするのですが、世界的なSDGsやESGといった環境と人権の配慮のなかで、製造したものを輸入するカーボンフットプリントも抑えられて、人権的にも問題になりにくい国内の製造を考えてみてはいかがですか?というコラムになっています。
価格を求めるなら
確かに価格をもとめるのであれば、海外製造が基本的に安価につくれます。
円安情勢で日本円が安くなったとはいえ、やはり海外は安くつくれます。とにかく安く抑えたい!環境や脱炭素はほかのポイントで行う。といったケースでしたら海外製造のほうが良いと思います。
木工加工の場合ではいろんなリスクに対してある程度ではありますが対策が立てられます。
例えば、FSC®認証もその一つです。
木材は、紛争木材をはじめ違法伐採が問題となった歴史があります。
FSC®認証を取得していればすくなくとも違法伐採や環境に大きな負荷のかかった木が使われていないという証明になります。
海外製造であればFSC®認証が取得できるかどうか?はひとつのポイントになりそうです。
ESG/脱炭素経営には透明性が鍵
こちらも世界的な話題になっています環境配慮、とくに脱炭素、カーボンニュートラルについては、その取り組みひとつで企業の株価に影響が及ぶとあって多くの企業が躍起になって取り組んでいます。
サプライチェーンを海外に置いていたり、海外製造ですとどうやっても問題になってくるのがカーボンフットプリントです。
大きな海洋コンテナに入れて運搬すると炭素発生がすくないから問題ない。という声もありますが、企業の脱炭素や気候変動・温暖化の原因とされる温室効果ガス削減のとりくみはかなり細かく、最近耳にしたことだと、家畜のゲップを1 回でも多く減らすために家畜に消化によい飼料の開発が行われるなど、増やすことは難しくないのに減らすことはとっても難しいという特徴があります。
また、温室効果ガスの発生を計算するGHG計算では透明性もとても大事なポイントになります。
このあたりについても、海外製造であれば要請したときにスムーズに出てくるか?計算基準や根拠がちゃんと示せるか?もひとつの判断基準になると思います。
一方で、某ファッション大手の件ではカーボンフットプリントではなかったですが、ESGのSに関わる部分で問題になりました。これにあたっては実は綿密な事前の調査があった上で問題がないと判断をされていたようです。これを元にして、該当の問題はないと提示を繰り替えしても問題は解決に向かわず、問われてしまったケースもあるので、こういった認証や先方の提示があるから全く問題がない。ということにはならないのであくまで参考として、あらかじめご了承ください。
モノ消費からコト消費へ
とはいっても国内製造ならなんでもいい。というわけでもありません。国内製造は価格は海外に比べて高くなりますし、日本の企業でも環境配慮はおざなり。という企業も多く存在します。
国内製造では、カーボンフットプリントが減らせます。また少なくとも就労環境は国内の法に委ねられるため問題になりにくい。というところが強みではあります。
一方で、Z世代を中心としてモノ消費からコト消費へと消費動向が変化してきています。
なかには、エモ消費、トキ消費とさらなる発展形もみられるとか…
モノ消費は、読んで字の如く物を手にいれることを目的にした消費のことコト消費は、できごとや体験をベースにした消費のことです。概念的なのでちょっと難しいのですが、たとえば、途上国で問題になっている就労環境を整えてデザイン的にも魅力的なバッグを販売すると、その販売を通じて社会に貢献するコトができる。といったものです。この場合、適切な就労環境として給与や労働時間などを整えて技術供与的に職人として育てたり、デザインを現地で行うことで才能開花につなげたりといったケースも見られます。
私たちWood+では、完全に国内製造です。また間伐材を中心とした国産の木材を使っていて環境によいだけでなく、木工加工の伝統技術を後世に繋いだり、震災復興のために被災地に工場を新設してそこで今日にまでつづく雇用支援などをしています。
また、このコラムをいつもお読みの方は、ご存じかと思いますが日本の森では過疎化や高齢化で林業による人の手が入らなくなってきています。
わたしたちのノベルティは製造だけでなく木も国産の木をつかうので日本の森に人の手を取り戻すことになります。
まとめ
春節、旧正月で工場が止まってしまってお悩みのお客様に向けたコラムでした。
サクッと内容をまとめますと、
・春節や旧正月などの慣習があってもなくても海外製造は日本とちょっと違う商習慣で動いているのを理解した方がよいかもしれません。
・過去の事例を参考にして製造工程や工場の就労環境や材料の透明性を確認できればした方がよいです。(第三者機関などの証明があればなおさらよいです。)
・ここ数年の消費志向はただ安いだけではなく、コト消費が注目を集めています。
コト消費については、弊社の商材はいずれのアイテムでも森の環境をまもるアイテムなので、コト消費を試すのに向いていると思います。
テスト的にノベルティグッズとしてお客様に配布したり、販売されたりでお客様からの声を聞いてみて、それで「これなら」と思われたら本格的に…というのがいいかもしれません。
今回の内容が皆様の力になっていると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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