森林を元気にするためには適度な「間伐」が大切
「木を切る」という言葉は自然破壊につながるイメージがあるかもしれません。しかし、実際にはその反対で、適度な量の樹を伐採することで森林が元気になります。
太く健康的な樹を育てるためには、樹と樹の間隔を保つために間引く作業が大切です。この作業は「間伐(かんばつ)」と呼ばれ、森林の管理には欠かせません。植林した樹々を放置してしまうと、木材として活用できる樹が育たないだけでなく、自然災害にもつながるリスクがあるため適切な手入れが必要です。
私たちフロンティアジャパンが間伐材事業を行う目的の1つとして、国産の木材からノベルティグッズを製作・販売し、森林再生に貢献することが挙げられます。そこで今回は、間伐作業の重要性や、国産の木材を使うことについて詳しくまとめました。ぜひ、国内の森林や林業について興味をお持ちいただければ幸いです。
密集して育った樹は太く育たず、土砂崩れのリスクもある
太くて真っすぐな樹を育てるために間伐が必要な理由は、樹の成長と地表への日照や、根を張る範囲が関係しています。山肌に樹を植えていく際、2~3メートル間隔で間を空ける場合が多いです。ある程度樹が成長してくると、隣り合う樹々の枝葉が近づくことにより、日光がさえぎられて地表が暗くなってしまいます。暗い地表では下草と呼ばれる、樹より小さな植物が生えなくなることが、土壌が弱くなる原因の1つです。
また、密集して育った樹は、地中で十分に根を張ることができません。樹の根は地中から水分や養分を吸い上げるだけでなく、樹全体を支える役割も担っています。一般的に、大きな植物が育つためには、その大きさを支えるための十分な根が必要です。山林に育てられた樹も同様に、根を張る範囲が広げられない場合、それ以上の太さに成長できなくなります。
樹の枝葉で日照がさえぎられて下草が生えなくなる場合と同様、浅く根を張った細い樹ばかりになってしまうことも、土壌が弱くなる原因です。土砂崩れが起きてしまうとその範囲に生えていた植物が流され、せっかく植林した樹が利用できなくなってしまいます。
つまり、間伐せずに密集した状態で樹が育ってしまうと、1本1本が細く育つことに加えて、災害による倒木も増えるということです。このような状態を防ぐために、定期的な間伐が必要となります。
細く育った樹でも、間伐すれば5~6年で太くすることが可能
すでに密集した状態で生えてしまった細い樹々でも、これからきちんと管理を行うことでしっかりとした元気な森林へと復活が可能です。現在生えている細い樹の中から、比較的良く成長しているものを残して、それ以外の樹を間伐で間引いていきます。
樹は本体が腐敗してしまわない限り、年輪を重ねてより太く成長していくことが特徴です。そのため、間伐によって日照環境が良くなり、広範囲に根を広げられるようになった樹は、5~6年ほどで太い樹に成長します。
植林した樹が木材として活用できるようになるまでには、通常50年~60年の期間が必要です。一方、細く育ってしまった樹を太くするためにはそこまで長い時間はかかりません。間伐作業を行って森林を管理できれば、今国内に生えている細い樹でも充分活用できる太さまで育てられます。そのため、森林の状態を把握した上で、適切な管理を行うことが重要です。
戦後に植えられた樹と国内の原生林について
現在、国内に生えている樹には、戦後に植林されて樹齢60年~70年程度まで成長したものの他に、空襲の被害を受けずに戦前から成長を続けている原生林があります。原生林の中には樹齢が200年以上のものもあり、それらの樹からは大きな木材を切り出すことが可能です。
ただし、樹齢が高いしっかりした太さの樹は高級品で、一般的な住宅の建造には使われません。20年ごとに建て直しが繰り返される伊勢神宮のような特別な建造物などに使用されたりします。
こうした事情や、すでに生えている原生林は数が限られていることから、国産の木材の供給を増やすためには植林と伐採のサイクルが重要です。戦後に植えられ、木材として使える樹齢にまで育った樹を活用していく取り組みが、今後の林業には求められています。
間伐材事業で国産材の利用を増やし、森林再生に貢献
私たちフロンティアジャパンの行う間伐材を活用したノベルティグッズ製作事業は、国産材の利用料の増加に貢献できます。間伐によって得られた木材を使ったグッズの製作・販売で、森林の環境整備に還元することが可能です。
今後、フロンティアジャパンでは、ノベルティグッズ事業だけにとどまらず、ドローンを活用した山林の測量や、そのデータを活用した森林の管理、運用に関する事業も展開していきます。植林から森林の管理、間伐、国産材を使用した商品の販売までをトータルに扱い、森林再生に貢献していく方針です。
たくさんの企業や団体の方々に森林事業の現状を知っていただき、国産材の利用や林業の再発展にぜひ、お力添え頂ければと思います。