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脱OTA時代のインバウンド戦略|ホテル・旅館で選ばれる“体験型ノベルティ”とは?

こんにちは。温泉大好き、コラム担当なかのひと1号です。
今回は、SDGsやESGといったサステナブルマーケティングの実務経験をもとに、「インバウンドで脱OTAを目指す宿泊施設さま」向けにコラムをお届けします。

「インバウンド」と聞くと、かつての“爆買い”団体ツアーを思い出す方も多いのではないでしょうか?
ですが、あの時代はもう過去の話。**今は“体験価値”を重視する“質の時代”**に変わりつつあります。

…とはいえ、ホテル・旅館など宿泊業に携わる方であれば、「もう知ってるし、実感してるよ」という方も多いはず。

実際、私もマーケティングの仕事をする中で、ここ数年は“商品の良し悪し”だけでは差別化ができないといいますか…もっと別の訴求ポイントがないとそもそも見てくれないし、買ってくれないと感じることが増えました。

これは若い世代、いわゆるZ世代・M世代に特に強く、しかもこれは日本に限った話ではなく、グローバルに共通する潮流でもあります。

さて、今回の本題は「どうすればインバウンドのお客様にOTAを通さず、宿の公式サイトから直接予約してもらえるのか?」というテーマです。

これは実は、私たちのようなBtoB企業にも似ている課題で、「直接の引き合い」と「代理店経由」では、成果の質が全然違います。宿泊施設でいえば、「予約サイト(OTA)」か「公式サイト予約」かの話と同じですね。とはいえ、直接予約を獲得するのは簡単なことではありません。

OTAにはポイント還元などのメリットもありますし、ユーザー側もすでに個人情報を登録していれば予約がスムーズ。この“便利さ”と“特典”という二重の壁をどう越えていくか?が課題となってきます。

そこで本コラムでは、「公式サイトから予約したくなる導線」として、

  • SNSや広告の使い方
  • 宿泊施設のUGC・UGI戦略
  • “宿泊体験を持ち帰る”体験型ノベルティ

こうした多面的な施策について、実例を交えてご紹介していきます。旅館・ホテルのブランディングにお役立ていただければ幸いです。

OTAだけに頼れない時代

「いやはや、OTA(Online Travel Agent)頼りではもう限界がある」

これは、いま宿泊施設の現場でリアルに聞こえてくる声だといいます。

実際に、私たちのところにくるお問い合わせにもこのあたりで、なにかグッズつくれませんか?というお問い合わせをいただくこともあります。

実際、OTA経由の予約は確かに便利で、安定した集客の柱になると思います。実際のところ、私も温泉宿予約するときにOTAで某ねこちゃんのサイト使います(いや、だって美容室とかマッサージとかに使えちゃうんですよ…しょうがないじゃないですか……はい、すみません)。

実際、OTAってまぁまぁ手数料が高くて、それでいて、先にもあげましたが商品単体での「良し悪し」で差がつきにくい消費動向のなかで同じフィールドでの価格競争が激化していくと…価格メリットやコスパで集客してしまうことになりがちです。

その副作用には、価格が上がったらお客様がいなくなるという自社ブランドが育ちにくくなるという連鎖的悪影響もじわりと存在しています。

というわけで、この数年、各地の宿泊業界で囁かれるようになってきたのが、「脱OTA」というキーワード。その背景には、以下のようなポイントが…

  • OTA手数料による利益率の低下
  • 価格以外の軸で選ばれないと生き残れなくなってきた
  • “安さ”ではなく“体験価値”を求めるインバウンド層の増加
  • 自社予約への移行で顧客との接点を深めたいという動き

とくに海外の旅行者、いわゆるインバウンド層においては、「安さ」より「ストーリー」「共感性」を重視する動きが強まっており、OTAだけでは語りきれない“個性”が宿の選定軸になりつつあります。まぁ、そのお宿のサイトを見た上でOTA経由で予約してしまう私のような不届ものもいるのですが…

ちょっとOTAから話を変えますと、最近流行りのオールインクルージブといったサービスなどもありますが、これもちょっと間違うと低価格路線への片道切符になってしまうかもしれません。

例えば、そのオールインクルージブで地域の食やお酒などが体験できるはもちろんのこと、文脈としてその施設でしか体験できないことに結びつくかどうか?ここが分かれ道になってくると思います。ともすると、同じ料金でたくさんお酒がのめそうだからこっちにしよう。というようなコスパ訴求になってしまうとブランディングから逸れていってしまいかねません。

オールインクルーシブは 「機能的価値」=スペック比較、先にあげたものでは、商品の良し悪しで差別化をすることに属するもので、ユーザーにとっては「コスパ」「便利さ」「効率」といった軸での評価になりがちです。

それに、結構多くの施設でオールインクルージブという言葉が見受けられるようになっています。

ちなみに、私はあまりお酒をたくさんのむわけではないですし、オールインクルージブのお宿でたくさんお酒を飲んで騒いでいる客層がいるかもなと想像してしまい、ちょっと敬遠してしまうかもしれません。

というわけで、今回特に取り上げたいのが、この価格やコスパで差別化ではなく、違うポイントとしてブランディングにつながるストーリーや体験で価値を高める方法についてです。

インバウンド客の心をつかむ“体験価値”とは?

さて、具体的に体験価値をと書く前に一回整理しておきたいことが、「誰に」「なにを」の基本的な構成です。

ブランディングにつながるストーリーや体験といった要素は「なにを」軸です。

問題は、「誰に」を明らかにしていかないと、どんなにストーリーや体験にこだわってもお客様に伝わらず、本当は価値があるのに「やったけど意味がなかった」ということになりかねません。

今回は、インバウンド全体をとらえつつ、サスティナブルなことや、サービスを通じて、得られる体験やストーリーが響きやすいかどうかを国ごとにサスティナ感度と。市場規模の二つで優先順位をつけて見ていきたいと思います。

上の表は、AIを用いて各国市場のサスティナへの感度をスコアにしたものと、2025年3月の訪日客数の2つを表にしたものです。

もちろんのことですが、単純な訪日客数でいうと、アジア圏が多くて52万〜69万人という方が訪日されています。

一方で、サステナ感度については、アジア圏は低め(8-13前後)欧州の高さ(15-26)には及ばないというのが伺えます。

このサステナ感度と市場規模を踏まえると、もっとも狙い目になるのは「米国」サステナ感度 18-22でアジア圏の倍。それでいて市場規模も34万人と大きなボリュームになっています。

ちなみにですが、これは全世代でみたい場合のものです。

日本でもそうですが、若い世代(Z世代)はこのサステナ感度が高くなります。

日本も全世代だと13-17くらいなのですが、Z世代に絞るとスコアが 17-20(アメリカの全世代に肩を並べるくらい) に上昇します。

サステナ感度と市場規模でインバウンドの狙いを変える。

台湾・韓国・中国でスコアは低いけど、市場規模が大きなグループは、Z世代狙いにして、友人たちのグループ旅行が主たるターゲットに、安くコスパ(オールインクルージブなども含まれる)がよいなかに体験やストーリーをいれるという形が狙いの形に

アジア圏以外でサステナ感度の高い国は、高額で体験やストーリー重視。Z世代以外も感度が高いので家族旅行やカップル旅行が狙い。問題は市場規模になってくるので、いかにバイラルになるUGCを自然発生的につくれるか?がカギになりそうです。

ちなみにアジア圏では、台湾からの旅行客が最も長く宿泊滞在をする傾向があり台湾は平均6.2泊、韓国は平均4.9泊となっていて、アジア以外のドイツ、フランス、オーストラリアは11泊〜16泊となっています。

マーケティング的にまとめると、

・アジアは、4-7泊の比較的短期滞在。ただ近いからかリピートは多め。SNS映えの傾向が強く、お土産などの購入はそこまで強くない。

・アジア以外は、11泊以上もある長期滞在。距離もあってかリピートはしにくい。体験型のサービス展開が刺さりやすくもの購入もある。

上記のような傾向がそれぞれあるようです。

引用:観光庁レポート 

ノベルティグッズでインバウンド顧客向けの“体験価値”をつくる。

ここから先は、ホテルや旅館がもつ宿泊施設の特徴や独自性を踏まえて自分たちはこっちかなというのを考えながら読んでいただけると幸いです。

というのも、バックパッカー的な宿に高級旅館のおもてなしはサービスとして不一致ですし、逆に特別な一泊を届けるのにオールインクルージブでお酒飲み放題のようなサービスを展開して飲んで騒がれてしまうとそれはそれで問題となってしまいます。

大事になるのは、やはりどういうコンセプトといいますか価値が基本としてあって、それをどうやったら最大化できるか?が重要なポイントになってくるということかなと思います。

 「映え」を超える“意味のある思い出”のインバウンドグッズ

たとえば、浴衣の着付け体験、折り紙や書道のワークショップは、ご当地の文化体験としてすでに広まってきているものです。


これらは「日本らしい体験」で人気のものです。ただ競合というとちょっと響きがあれですが、すでにそういうサービスを展開しているところは多数存在していますし、そことなにか違いをつくらないとお客様から見ると「映え」目的に思われてしまうこともあります。

私もマーケティングでこのコラムを書いている身として身をつまされるのですが、「ああ、これ集客のためにやってるな」って思われてしまうとなかなかSNSのシェアはもちろん、UGCなどにつながることもなくなりがちです。

いかにほかでやっているサービスとの違いを明快に引き出すのか?これをサステナ感度に合わせていくと「なぜそれをやるのか?」という文脈共感できるストーリーでその価値を高めるということになってきます。

たとえばですが、

「間伐材を使ったクラフト体験」ホテルや旅館の近くの森の森林保全につながる行動につながっている。

「職人が下地をつくった木組みコースター」 → 歴史的な日本文化に触れながら伝統技巧を未来へつなぐ橋渡しを実感できる。

「地域の神社の維持で発生した木でつくるお守り」 → 樹齢の長い木をつかうことで文化の深さと人の思いを感じられる。

こうした“意味のある体験”こそが、心をつかみ、**旅の記憶に残る“価値”**となります。

私たちのグッズでこれを行うのであれば

杉うちわで、地域の木や神社などの管理木でうちわをつくり、家族の手形などをペタペタして思い出のグッズをつくれる。というのは結構体験型のサービスとして人気でUGCもつくられます。

ノベルティと体験でインバウンドのお客様の心を掴む。

株式会社大之木ダイモ様実績紹介こどもワークショップ

杉うちわ

住宅会社様の実績ですが、イベントで同様のワークショップを実施して行列がた得ないくらいだったといいます。こちらは、家族だけでなく、グループ旅行のアジア圏向けのインバウンド顧客に向けてもよい策になりそうです。

地域と連携したノベルティでインバウンドの体験価値を育む

「事任八幡宮様&オールスタッフ様 「夫婦杉の御朱印帳」製作実績」があります。

こちらは、地域の文化につながるような事例として神社の御神木が台風で倒れてしまい。その木をつかってつくった御朱印帳です。

インバウンド向けにということであれば、地域の観光的なガイドブックのような形でまとめて、御朱印ではなく地域で文化貢献や自然体験をするとスタンプを押してもらえて、全部集めるとなにか特典がもらえたり、

いくつかのホテルや旅館など宿泊施設を各地で展開されている場合には、各地のホテルなどに宿泊したらスタンプを教えてもらえて全部集めたら特別な宿泊サービスになるなどでリピーター促進策に繋げるなどが考えられます。

木製御朱印帳

建物をつくる際のおがくずも使う究極のサスティナノベルティでインバウンドを

とんでもなくサスティナブルな話で、旅館やホテルのリニューアルや改築、新築で発生する木の端材やおがくずをつかって、いろんなグッズをつくることもできます。

Kitto+ 木粉のタンブラー

樹脂成形なので、自由に形をつくることができるのですが、私たちのサスティナブルさは、支給材で樹脂成形品ではありえないくらいの小ロットで作れるということがあります。

たとえば上のようなタンブラーで一般的な樹脂成形サービスですと、支給材といってこのおがくずや端材でつくってくださいというと最低でも何千個という数が最低ロットとされてしまいます。

ただ、私たちは500個からと圧倒的な小ロットでつくることができます。しかも、金額も小ロットだからととんでもなく高くなるということもありません。

ホテルや旅館ですと、クシ、ブラシ、ハンガーといったアメニティで、この建物を作る際に発生したおがくずや端材でつくっています。と訴求することでサステナ感度の高い方達へコンセプトを伝えることもできます。

とくにサスティナブルなプラスチックは海外のお客様にも「Wow!」という驚きがあがるアイテムです。それが、建物を建てたときの端材やおがくずで作られているというのはさらに驚きを生みます。

事例:ミズノ株式会社様オーダーメイドバットのアップサイクル実績

木のおがくずなどをつかってつくるホテルや旅館のアメニティ・雑貨のご依頼は、こちらのサイトから

特に上場されていたりすると、TCFDやTNFDをはじめJPX2025改定などへの対応も必要になると思います。

このタンブラーは、脱炭素にもなりTCFDに、森の木をつかうことで生物多様になりTNFDにも貢献します。さらに、私たちの樹脂成形サービスはFSC®︎認証を取得できます。

JPXサスティナブルガイドライン改訂でFSC®︎認証が有効な理由については下記のリンクを参照してください。

サスティナブル経営やESG経営への貢献も強くできます。

ノベルティでUGCをつくりインバウンドの脱OTAに

さて、ここまでは私たちのノベルティ、木製グッズで体験価値をつくることでインバウンドのお客様向けにホテルや旅館を選んでもらいやすくする手法について書きました。

ただ、これでは脱OTAにはなりにくいです。

脱OTAには、UGCをいかに増やすことができるか?がそのドアを開く鍵になりそうです。

先のノベルティグッズで体験サービスをつくる。地域を巻き込んでいく、アップサイクルでサスティナブルなすごい驚きをつくる。というのも十分にSNS掲載や施設のレビュー掲載に進んでくれます。

できれば、公式SNSアカウントに絡めてくれたり、Googleの口コミなどにレビューをしてくれるとより公式サイトからの予約へつながっていくことになります。

また、スタッフコンテンツとして施設のコラムなどにお客様の声を掲載させていただいたりなども有効な策になっていきます。

また、協力してくれたら、お土産物でこういった和風の木組み(それも地域の伝統的な木工加工を織り交ぜて職人の顔が見えるとよりよい)が体験できるコースターや鍋敷などをサービスすることで協力もしてもらいやすく、SNS掲載なども自然に誘導できるようになると思います。

さらにいうと、これをもらったお客様が帰国したあとで、友人や知人に「これがさ」と口コミをしてくれる可能性もぐっとあがります。

このUGCを自然発生的に作れる仕組みがあるかどうかがどうして脱OTAになるのか?といいますと

AIを用いた検索アルゴリズムでSNSやGoogle検索はその精度がかつてないほどに高まっているので、SNSでは類似性の高いユーザーの目に触れる回数が増えます。

目に触れる回数が多くなると自然と愛着が湧いてしまうザイアンスの法則もかかりやすくなりますし、スタッフコンテンツでDSA広告の精度も高くなっていき公式サイトへの誘導がスムースになります。

また、SEO効果も高くなるなどの効果もあります。

公式サイトからの予約でしか体験できないこと(先の木組みのコースター作り体験)などを用意してその背中を押すことで、脱OTAにむけて一歩一歩進んでいくマーケティング構成を作ることができると思います。

ホテルや旅館のインバウンド脱OTAをノベルティで – まとめ

ノベルティグッズで、ちょっと、いや、かなり手前味噌をこねくり回しながら、私たちの木製グッズがサスティナブルになる。ならそれをつかっていろんな体験価値をつくっていくとインバウンドのお客様にはしっかりと伝わるはず。という思いで書いてみました。

もちろん、ここのデータやグラフ、サステナ感度などは一応ですが過去のインバウンド、世界各国の消費傾向などをAIに読み込ませて指標として算出したものです。

それなりに正しいと思いますが、参考にされる場合にはご自身でもいろんな消費データや傾向などをお調べいただくことをおすすめいたします。

ただ、わたしたちのグッズは結構SNSに掲載される傾向があることは確かです。

国産の木をつかい。国内で製造し。「その販促が、未来をつくる。」そういうコンセプトで活動しています。

また、とかくノベルティグッズというと、どうしても安く、早く、簡単につくれるので、大量生産、大量配布のバラマキ型のモデルになりがちです。

私たちは、この世界的な環境配慮やESG経営などのながれがおきるずっと前から間伐材や国産の木をつかってきました。

そして、いまはAIをはじめMAツールなどで適切な量を、適切なお客様に配布することが難しくない時代です。

そんな適量生産、適量配布のちょうどいい販促、ノベルティをお求めならぜひお問い合わせください。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。

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