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【森林業界】国内の林業の現状と、活性化のために大切なこと

林業には”川上”から”川下”まで様々な仕事があります

ひとことで林業と言っても、仕事内容は様々です。山林の所有や管理、木こりや製材など、より森に近い場所で行われる事業は”川上”の仕事と呼ばれます。川上の仕事では、木が密集しすぎないように間引く「間伐」などの作業をしたり、製材した木を乾燥させたりすることが主な作業です。山林の手入れは土砂崩れなどの自然災害防止にも繋がるため、適切な管理が必要とされます。

一方、川上の仕事で切り出された木材や丸太を使って、家具や木工製品を作ったりする事業は”川下”の仕事と呼ばれ、どちらも国内の林業を支える大事な活動です。間伐材からノベルティグッズを製作している私たちの活動は、川下の仕事に含まれます。

このように、様々な事業が支えあって成り立っているのが国内の林業です。しかし、かつて14万人ほど居た木こりの方々が現在は4,000人程まで減少してしまったことや、管理の行き届いていない私有林があることなど、いくつかの課題もあります。


国内の林業を活性化するためには、川上から川下まで含めたすべての仕事がうまくいくことが大切です。そこで私たちは、最新技術を活用した新たな取り組みで、国内の林業全体の活性化に取り組んでいきたいと考えました。
そこで今回のコラムでは、国内の林業の現状や、林業の活性化のために大切なポイントについてご紹介します。

戦後植えられた木が50年、60年経ち国産材として使える太さに成長

現在、国内にある山林の多くは、戦後の焼け野原に植えられた木が50年、60年と育ったものです。実は林業では、植えた木をすぐに製品として活用できるわけではありません。木材として使える太さの木に育つまでに、50年以上の年月がかかります。戦後に植えられた木は、現在は国産材として使える大きさまで育ちました。

2008年ごろから「国産材を積極的に使おう!」という呼びかけのもと、現在に至るまで国産材の利用は年々増えてきています。それ以前は、海外から輸入した外材が主に使われていました。国内で伐採された木材を国内で利用することで、川上から川下までの事業が活性化します。川下の事業で国産材の活用が進めば、川上の森林管理や製材の仕事も潤い、好循環を作ることが可能です。

国内の山林の58%は私有林。山林の管理には課題も…

現在、国内の樹木が木材として活用できるまでに育ってきましたが、山林の管理には課題も起きています。日本の森林の面積は2,510万ヘクタールもの広さがあり、そのうちの約58%は私有林です。

戦後、山林の所有者の方は将来の木材として活用する目的で植林を行いましたが、60年以上が経過した現在は、子どもや孫の世代の人たちに相続されています。しかし、子どもや孫の世代の人たちは別の場所に移住してしまっている場合も多く、管理が難しいケースもあるのです。

本来、川上の仕事としてたくさんの木材が切り出されるチャンスが眠っている山林が、放置されたまま残っていることは、国内の林業にとって大きな課題です。この課題を解決するために、2019年4月からは「森林経営管理制度」という仕組みがスタートしました。森林経営管理制度は、管理が行き届いていない山林や所有者不明の山林に対して、市町村が働きかけて整備をサポートする取り組みです。

山林を相続した子どもや孫世代の人たちに代わって、林業に関わる民間業者が森林資源を活用することで、山林所有者、川上・川下の林業者、そして消費者の三方にメリットが生まれます。

産業用ドローン測量などの最新技術で林業の活性化に貢献

私たちは現在、林業を活性化させるための取り組みとして、最新技術を活用したサービスを開発しています。産業用ドローンを活用した森林測量がその中の1つです。

山林の所有者の方でも、自分が所有する山林にどれくらいの木が生えているのか、またそれらが木材としてどれだけの価値があるのか正確に把握できていないケースが少なくありません。これらの情報は、自身の所有する山林の資産価値を正しく見積もるために重要です。

最新の産業用ドローンを使った山林計測では、指定されたエリアにどれくらいの太さの木が何本植えられているか把握できます。従来の方法では、山林を空撮する航空機を飛ばすために多大なコストが必要になったり、計測員が徒歩で測定するため狭いエリアしか調査できなかったりといった課題がありました。ドローンによる山林計測なら、これらの課題をクリアできます。


産業用ドローンを活用して山林の状況を的確に把握できるようになれば、山林の管理に役立つだけでなく、資産に対して適切な値段をつけることも可能です。最新の技術で川上の仕事をサポートすることで、林業全体の活性化に貢献できると私たちは考えます。

従来になかった森林測量の技術を活用して、川上から川下まですべての事業が元気になるための活動に取り組んでいければ幸いです。

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