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浅草小学校様実績紹介 150周年記念「桜のチャーム」

いまから150年前、大政奉還から数年がたち幕末期の混乱もおさまった1873年。この年の9月に欧米12カ国への派遣されていた岩倉使節団が帰国。

子どもたちの教育も、300年以上続いた江戸時代の「剣術と書」の時代から、欧米追従・明治の文明開花で蒸気機関をはじめとする「先端技術と算盤」の時代へと、大きな移り変わりがありました。
今回のお客様インタビューは、そんな創立150周年という歴史をもつ浅草小学校の思い出を繋ぐさくらチャームです。

目次

日本人と桜の木

桜というと、童謡「さくらさくら」に代表され、いまも多くの桜をテーマにした歌や小説が発表されるなど、日本人の心の木といっても過言ではありません。

入学や卒業を祝ってくれたように咲く桜の木には、特別な思い出があるという人も多いはずです。
コラム担当も桜というと、すぐに思い出せる木があります。咲き方や節目、思い出に交わって大切にしたくなってしまう。それが桜の木です。

でも、もし、そんな桜の木を切らないくてはならないとしたら……

校庭にある木のなかで桜は、ただ一本だけ。どうしてそこに植えられて、いつから子どもたちを見守ってきたのか、文献を調べたり人に聞いてもわかりませんでした。わかる限りでおよそ半世紀。子どもたちの成長を見守りつづけ、多くの人に思い出とともに愛されてきたことは確かなようです。

「40代、50代の卒業生に聞くとあの桜は、自分が子供の頃にはあったっていうんです。」

浅草小学校大石校長は、この桜の木をできれば切りたくはなかったといいます。
ですが、桜の木の根が地表に溢れて校庭のトラックコースがでこぼこになってきてしまい。子どもたちがあそんだり、体育での授業への支障もあって対処しないといけなくなりました。

「最初は、邪魔になっている桜の根っこだけを切ることでどうにかならないかなと考えたんです……」

桜の木を切らず残すため、いろんな手法を模索しました。

例えば、でこぼこの原因となる根だけを切って平らにする方法。これは桜の木が、根を失ったことでバランスを保てずに倒れてしまったり、切ったところが原因で病気になれば木の中で傷みがでて、こちらも倒れる恐れがあります。

それではまずいと、ほかにもいろんな解決策を検討しました。ですが桜の木を無事に残して、病気にもならないような方法はついぞ見つからず「伐採以外に方法がない。」と切る決断に至りました。

「浅草小学校は、桜と街や地域と一体なんです。」

浅草小学校は、浅草寺や隅田川沿いに立ち並ぶ桜の木々と、世界からの観光客もたくさん訪れる歴史のなかで、桜のある街の風景のひとつとしてあります。

そんな街の風景になっている小学校の桜には、とくに思い入れのある卒業生はもちろん教職員やPTAも多くいて「切る」ことは、いろんな方へ相談をしたうえで最終的に決められることになりました。

「すごく地域に守られている学校なので、今回の桜みたいにずっと咲いてきた木を切るというような判断は学校だけで決めることはできないんです。歴史があったり愛着があるものをどうにかするというときは、みんなに相談をします。」

現在のPTAはもちろん、歴代のPTA会長が参加する顧問会にも、この桜が子どもの活動に差し障るようになってきていること、切る以外にはもう方法がないとを伝えると「子どもの教育に差し障るなら…」と教育を優先する姿勢にまとまり、多くの人から愛された桜の木を切ることとなりました。

あの桜を切らなくてはならない--その話は街の人や、多くの卒業生の耳にわたりました。

最後の桜が咲いときには別れを惜しむように、多くの人が集まってきては記念写真を撮って、さながら同窓会のようだったといいます。

たくさんの人に愛された桜を切ることに決まったものの切ったらおしまい。というのはさすがに寂しい。桜が咲いていた思い出、受け継がれてきた歴史を何かしらの形でのこしたい。

「切った木でなにか、思い出になるものを残そうといろんな企業のホームページを探したり、全国の小学校で切った木を何に使ったりといったことを調べたんです。」

大石校長は、山宮副校長にも声をかけ、桜の木で”思い出にのこるもの”をつくるために奔走。

集まった事例は、切った木をつかってつくるベンチや椅子・テーブルをはじめ、木の根っこを飾るオブジェといった大きな物や屋外に置くものばかり。
大きなものでは置く場所がなく、むずかしい。屋外におくものでは風雨による劣化でいつまでも残るものにはなりません。

なかなか、これだ!というものが見つからずにいましたが、山宮副校長が探してきた「切らなくてはいけない木をつかって、木製グッズにすることで思い出だけでも残せる。」というホームページに目がとまりました。

なかでも、慶應義塾大学の耐震補強工事で、シンボルツリーが工事の支障となっていて切らなくてはならず、切った木で卓上時計などのグッズをつくったという事例に、グッズなら、ベンチやオブジェ、椅子・テーブルのように大きなものでもないし、雨風にもさらされない。小物のグッズなら多くの人に手渡せる。

切った木を木製グッズにする。というのはまさにこれだ!と描いていた”思い出にのこるもの”にぴったり当てはまりました。

みんなの思い出を残すグッズへ

切らなくてはいけない木をグッズにする。ただ木は、自然のもので生きています。

そんな木を切って木製品にするときは、木が太さや高さといった見た目だけでなく、木のなかで病気になっていないか?など健康状態という内側の要素にも左右されます。

見た目がどんなに立派でも、木の病気で傷んでいれば加工はできませんし、使えない箇所が多くなると必要な個数がつくれないことも。
まずは、桜の状態を調べて、加工ができるかどうかから調べることになりました。
問い合わせをいただいてからすぐに、現地を調査。木の健康状態だけでなく、幹の太さや枝振りなどから、どういう風に切ればよいか、どういうグッズなら何個くらいつくれそうか?を確認。

今回の桜の木であれば、チャームで800個と、かなり多くの人に配れる量をつくれることがわかりました。

オリジナルチャーム

https://eco-pro.ne.jp/product/jb287/

初回の調査では見えている範囲ですが、木の状態は問題はなさそうでした。
ですが、切ってみたら思いのほか健康状態が悪かった。ということもあるので、最終判断は切ったあとに断面を確認してからグッズに加工できるかどうかのを見極めることに

写真は、桜の木の断面。枝は一部状態が悪いところもあったり、サイズも小さく、木製品への加工が難しかったのですが、幹は健康状態がとてもよく問題なくグッズ化ができる状態でした。

こちらは、木の幹をスライスした断面。
切った桜は、病気もなくしっかりとしていてグッズ加工にはまったく問題がないことがわかりデザインなど具体的な工程に進みます。

「桜の木をつかって木製チャームをつくる。というのは想像ができても、そのほかにいろんなものが必要なことはわかっていなくて、いろいろと提案してくれたのはとても助かりました。」

チャームのデザインには、桜の花をモチーフにすることで一目で桜でつくられたことがわかるように。また、浅草小学校の校章と150周年の刻印をレーザー彫刻で施して愛着がより一層湧くように。
そしてパッケージ台紙には切る前に咲いた満開の桜の写真を入れて仕上げました。

ころんとかわいらしいチャームと桜の写真が映えるデザインの台紙

150周年(150th Anniversary)もシンプルなレーザー彫刻で

「グッズをつくる。ということはわたしにはわからないことだらけなので、いろんな提案をしてくれて思っていた以上に素敵なものになりました。」
この木のチャームだけではなく、パッケージ台紙と組み合わさることで、150周年の記念品としても価値が高められたと思います。

担当デザイナーOよりグッズデザインのポイント

シンプルなデザインのチャームなので、校章をどうデザインするかには気をつけました。
ボールチェーンをつけたときに自然な位置のバランスをとるのはもちろん。桜の材が持っている自然な滑らかさを感じていただけるように、木肌の地に校章が乗った時の大きさを調整しました。

桜のチャームの反響

桜のチャームができたあと、まずはこの春に卒業する6年生に、それから在校生や卒業生、いろんな関係があった方々へ声をかけました。

「たくさん買ってくださった方もいて、親子代々みんな浅草小学校という家庭も多く一家庭で5個とか、家族分や兄弟分をまとめて購入してくださったり」

チャームは、大石校長の教え子からも「お守りがわりに使います。」と浅草小学校に直接関わりはない方からもとても好評。
「日本人にとっての桜」であること「校庭でながくこどもたちを見守ってきた木でつくられた」ということもあって込められた思いがじんわりと滲み出て伝わるようでした。

同窓会長からは、3月の同窓会に合わせて”まだなの?まだなの?”と心待ちにされている声があったり、ほんとうにたくさんの反響があったといいます。

「いま、あるはずの桜がない。というのは寂しいことではありますが、こうして残せるものができてよかったです。」

お話を聞かせてくれた大石京子校長と山宮秀和副校長。

台東区立浅草小学校
https://taito.ed.jp/swas/index.php?id=1310221

まとめ

2023年は、AIなどの技術革新が広まってきて、これまでできなかったことが普通にできるようになったり、SDGsといった環境や人権への配慮がこれまでにないくらいに求められてきたり、150年前の文明開花が再来したかのような強く大きな変化の時代。

そんな変化の時代だからこそ、歴史や思い出といった人がながく大切にしたいものや、ずっと変えたくないものをどうやって残すのかが問われていると思います。
浅草小学校も、150年と地域の方が守り続けた歴史をこれからもながく受け継いで残していくことが伺えたお客様インタビューでした。

わたしたちフロンティアジャパンも、浅草小学校の桜の思い出を残すお手伝いができてとても光栄でした。

この日は春の陽気で隅田川沿いの桜は満開の花をつけていました。あの桜も、この桜にまけずに、浅草小学校に関わった方々の心のなかで満開の花をつけているはずです。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました

【ショールームのご案内】

フロンティアジャパンにて作成してきたノベルティアイテム、記念品はもちろん、最新商品や大型アイテムなど実績サンプルを多数展示してます。

木製品特有の年月とともに変わる風合い、味わい、木の種類による違いなどお手に触れて確かめられます。

なお、見学をご希望の場合は、お問い合わせフォームよりご予約いただけますと幸いです。

TEL 0120-98-2339
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