2023年9月ニューヨーク証券取引所で「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」が自然の開示枠組みを公表しました。
これは、生物多様性を守る企業の経営に投資や融資が集まることを狙ったもので、近年とかくいわれる環境経営、脱炭素やカーボンニュートラルなどの環境配慮が企業の経営に大きく影響していくながれのひとつです。
思い返しますと2015年にSDGsがはじまり、2020年前後を境にしてこの企業が環境へ配慮を求められるながれが一層強くなったように感じます。2021年にESG関連の投資は世界全体の金融市場の40%を超えて話題になりました。2022年にはGX(グリーン・トランスフォーメーション)と、少し先になりますが2028年には欧州並みの負担とされる炭素税(炭素賦課金)がはじめられることが決まっています。
さて、今回のお客様インタビューに協力いただいた、佐川急便様を中核とする総合物流企業グループのSGホールディングス株式会社様には、グループ会社に社有林「さがわの森」の維持管理や木材資源の有効活用をすすめる佐川林業株式会社様があります。
佐川林業様の設立はいまから約30年前の1990年。当時の環境問題といえばオゾン層をどうやってまもるのか?が環境問題の一丁目一番地で、気候変動や温暖化、生物多様性の危機については、そこまで大きなものでなかったこともあり、大きな注目を集めてはいませんでした。
いまでは、「さがわの森」での取り組みはSDGsをはじめ、ESG、カーボンニュートラル(脱炭素)と企業の経営に環境や社会への配慮が求められる環境経営の時代に欠かせない存在となってきています。
今回は、そんな佐川林業様が維持管理されている社有林「さがわの森」の木を支給いただいてSGホールディングス様の新卒採用内定者への記念品をつくらせていただきました。
ほかにも、これまで「さがわの森」の木でつくったノベルティグッズなどの活用事例や、環境に配慮したさまざまな取り組みについてSGホールディングス(佐川林業兼務)の柿﨑様に伺ってきました。
SGホールディングス株式会社
総務部
兼 佐川林業株式会社
事業部/管理部
柿﨑 礼樹様
「かわいい」と声もあがる内定記念品
今回フロンティアジャパンにて作らせていただいたアイテムは、Kitto+の木粉のタンブラーと木粉のお皿2枚。
「新卒採用の学生さんは、SGホールディングスグループというと佐川急便をはじめとした総合物流企業グループという目線で見ていると思いますが、所謂物流以外も含んだ事業の幅広さをお話しすると驚かれることが多いですね。」
先にも挙げましたが、SGホールディングス様では、社有林「さがわの森」の管理を行う佐川林業をはじめ、不動産、システムなど物流を軸にしながらさまざまな事業を展開しています。
それら事業の”広域性”や”意外性”を、この記念品を通じて、内定者に感じてほしいという思いがありました。
「これは、何でできている?」
一見すると木でつくられていることがわからない見た目のあたらしさもありつつ、木を通じた環境配慮や、社有林「さがわの森」などSGホールディングスグループの事業を自然な形で”伝えることができるアイテム”としてよかったといいます。
「内定者からは”かわいい”という声があがっていましたね。社内の採用担当からも、木のやさしい風合いが感じられて、黒いロゴのシックなところがいい。という声をもらっています。このアイテムをオフィスのデスクで飾らせていただいているのですが、近くを通った方から”なにでできているんですか?”と聞かれたり、“今までの佐川林業のグッズと違う真新しさがある“とコメントをもらったり、いろんな方から興味をもってもらっているのを感じます。」
これまでも、佐川林業様の森の木を有効活用したノベルティグッズや事業内保育所の玩具などに活用していくということを以前からやってきているなかで、木そのまま、そのものではない真新しさもあって評判につながっているようです。
環境への取り組みにつなげる
「もともと「脱炭素に取り組んでいかなければいけない」というのは、当社グループ全体で昔から意識していることであり、脱炭素が世間的によく言われるようになったからといって、前提が大きく変わったというのは感じないですね。ただ世界の脱炭素の動きが強くなるにつれて、当社グループの脱炭素に向けた熱量がより上がってきているのは一従業員としてとても感じています。」
SGホールディングス様ではグループ全体として、「脱炭素などの環境や社会への取り組みは企業としてだけでなく、従業員全体や関わる人も含めてその意識を向上していかないといけない」という認識があり、企業として「脱炭素ビジョン」を掲げ、車両や施設はもちろん、パートナー企業をふくめたサプライチェーンへ全体での排出量削減といったハード面での取り組みと、従業員をはじめとする社内外で関わる人たちの意識をいかに前向きにしていくのかといったソフト面での取り組みで、2050年のカーボンニュートラルへ向けて取り組んでいます。
SGホールディングス「脱炭素ビジョン」
https://www.sg-hldgs.co.jp/csr/mission/environment/climate/
「今回のグッズを通じて、事業のことはもちろんグループとしての脱炭素や環境への意識を、今後社員となって一緒にはたらく内定者の皆さんに伝えられたと感じています。」
SGホールディングスグループ全体として、環境を意識する前提は変わらないものの、ESGを所管する部署もできるなどその熱量は企業として年々上がってきていて、新卒採用の学生たちの「企業の環境への取り組みを就活のひとつの軸にする」ことも含んで社内外で環境意識の高まりなどを感じるようです。
社有林とノベルティグッズなど活用事例
さて、「さがわの森」のようにこれまで長く人の手が入ってきた人工林や里山は、適切に管理されつづけることでその環境が守られます。
管理されずに放置された森では、2023年とくに被害の多かった熊などの森にくらす生き物が、森の中が荒れてしまい食べ物に困り人里に降りてきて問題になったり、木々が不安定になるので少しの雨風で土砂崩れを起こしたりします。
この森を適切に管理するためには、計画的に間伐などを行って木材を有効活用していくことが必要です。
そうすることによって若く元気な森が増え、そこに暮らす生き物はもちろん、温室効果ガスの吸収効率も増えていきます。
「さがわの森」は、自然豊かな山林を多く抱える高知県と徳島県に合わせて7箇所。面積を合計すると812.59haと東京ドーム換算で173個分、モナコ公国(約208ha)の約4倍と広大な森を形成しています。なお、今回つくらせていただいたKitto+エコタンブラーでも、「さがわの森」の木を支給いただいています。
これまで「さがわの森」の木の有効活用の事例は、自社ビルに併設された事業内保育所「SGH Kids Garden」の床や壁などの内装材、建材におもちゃといった木製品をはじめとしてほかにも、保養施設のルームキーなどの施設備品としてはもちろんイベント配布の記念品、ノベルティグッズとさまざまな活用事例があります。
弊社といっしょにつくらせていただいた木製品は、先の事業内保育所のおもちゃに表彰盾、キーホルダー、カレンダー、くつべらといったアイテムはもちろん、トラック型の時計といったちょっと変わったものまで幅広く多岐にわたります。
一方で、それら建材や内装材、ノベルティなどをつくる際に発生した木粉(端材・おが)の活用というと、なかなか難しく通常は産業廃棄物として処分となります。
ほんとうは捨ててしまう木粉(端材・おが)にあたらしい活用の道をつくったのがKitto+です。
PP樹脂に混ぜてタンブラーやお皿にしたアイテムで、木製品・木製グッズと同じように炭素をそのなかに固定できて脱炭素につながります。
建材はもちろん、ノベルティグッズなど木製品にするにしても困ってしまう大きさの端材や、木を削ったり切ったりで発生する木屑やおがくず。これらを有効に使えて自然素材をあますことなく使い切ることができます。
社有林の木を用いて、SGホールディングス様の記念品としてつかい切っていくことで、森が放置されてしまう問題の解決をはじめ、気候変動の具体的な取り組み、自然資本として注目のあつまる生物多様性の保全と、さまざまな環境問題への取り組みにもつながっていきます。フロンティアジャパンもこの取り組みに貢献できてとてもうれしい限りです。
まとめ
SGホールディングス様お客様事例、社有林の木でつくるエコタンブラーとお皿でした。
一般的に社有林については、2018年と少し前の調査になりますが、社団法人国土緑化推進機構の「企業の森づくり」に係るアンケート調査によりますと、社有林をもつことへの課題として浮かび上がるのは「定量的な評価・成果が示しにくい」という評価面での課題があります。
社団法人国土緑化推進機構の「企業の森づくり」に係るアンケート調査
https://b-forest.sakura.ne.jp/morinavi_old/contents03/obj02_01.html
カーボンニュートラルで求められるGHG計算をもとにした脱炭素経営においては、森のもつ炭素吸収量をもとにしたカーボンクレジットが活用されるようになってきており、ESG不動産投資でもグリーンビルディング認証ではいわゆる内装の木質化までも含めて評価対象になってきています。2023年の9月にはTNFDと生物多様性が企業経営に求められることなどもあって、より一層、社有林を持つことでの定量的な評価・成果が見える化してくると思います。
こういった環境配慮が企業経営に求められる以前から、SGホールディングスグループ様では、社有林の自然資源の有効活用でノベルティなどの木製品にするなどで、ステークホルダーをはじめ、お客様へと企業全体で行っている環境への取り組みを自然と伝えてきました。ノベルティや記念品なので定量的とはいいきれないものの、評価・成果がある程度見えるようになっていると思いますし、一歩も二歩も進みながら長い年月で積み重ねられた環境への取り組みに学びの多いインタビューでした。
それでは、最後までおよみいただきありがとうございました。
【ショールームのご案内】
フロンティアジャパンにて作成してきたノベルティアイテム、記念品はもちろん、最新商品や大型アイテムなど実績サンプルを多数展示してます。
木製品特有の年月とともに変わる風合い、味わい、木の種類による違いなどお手に触れて確かめられます。
なお、見学をご希望の場合は、お問い合わせフォームよりご予約いただけますと幸いです。
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