
「一人ひとりの選択が未来をつくる。」誰にでも訪れる〝死〟と〝森林保全〟を掛け合わせ、未来に豊かな自然を残すために、2022年に設立されたat FOREST株式会社様が「RETURN TO NATURE」と提案するのは、ご遺骨をパウダー状にして土と混ぜ、森(土の中)に還す“循環葬®︎”です。
墓石の立ち並ぶ墓地はもちろん、散骨や樹木葬とも異なる。あらたな選択肢として注目を集めています。
今回、at FOREST株式会社 代表取締役 小池友紀様に、循環葬®︎RETURN TO NATURE立ち上げの背景や直面した困難、そして自然とのつながりをつくるためのグッズについて、また、この事業を通じて未来に伝えたい思いについて伺いました。
お客様インタビュー
at FOREST株式会社
代表取締役
小池友紀様
「木が枯れるように」ができない?「疑問」と「家族の経験」
小池様が循環葬を始めようと思われたきっかけは、小池様のご両親がお墓を引っ越すときに感じたある疑問にも似た違和感がきっかけにあるといいます。
ご両親のお墓を引っ越す際、お母さまと一緒に多くのお墓を見て回られたなかで、お母さまが口にされたのが『木が枯れるように人生を終えられたら』という言葉があったといいます。
木が枯れるように“自然に還る”という想いに小池様も共感し、それならばと樹木葬や自然葬などを調べてみることにしました。ですが、実際に調べ現地を訪ねてみると、思い描いていた“自然に還る姿”とは大きくかけ離れていたといいます。
たとえば樹木葬では、樹木はたしかにあるのですが、街の都市公園のように整備されたなかに樹木と一緒に墓石があり、そこにいままでのお墓のように、骨壷をそのまま納骨する、というものがほとんど。樹木は飾りのようなもので自然に還る形にはなっていなかったり、自然の森の中にご遺骨を撒く散骨を実現されているところでも「山のどこかに撒いています」というようなもので、埋葬には立ち会えないものや、山のどこに埋葬されたのかわからない。といったものが多かったといいます。
「なぜ自然に還ると謳いながら、自然に還らないのか」
「最後の埋葬に立ち会えず、山のどこなのかもわからないのはどうなんだろう」
樹木葬や山散骨を調べ、現場に足を向ければ向けるほど、疑問と違和感は強くなっていき、“自然に還りたい”そう願うひとたちのためのお墓があってもいいのではないか、と考えるようになったそうです。
その疑問や違和感は、社会へ新しい葬送の選択肢となる”循環葬®︎”を始めようと思うきっかけとなりました。
法律・慣習の壁を超えるためのパートナーシップ
先にも書きましたが、at FOREST様の循環葬®︎では、ご遺骨をパウダー状にして森の土の中に埋葬することで、自然に還す。というものです。
一見、耳にすると、森にお骨を埋める。ということで、簡単に実現しそうな気もしますが、実情として様々な壁があり実現は難しいといいます。
小池様も、この事業を進めようとするなかでそんな壁に直面したといいます。
特に大きかったのは、大きくわけて二つ。
ひとつは法律の壁、もうひとつが慣習の壁です。
法律の壁
法律の壁は、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)によって民間事業者が単独で墓地を経営することが厳しく規制されていることです。街なかでみかける民間霊園も、実際の経営は宗教法人などが経営主体となっていて、民間事業者がその運営、コンサルティングを担っているということがほとんどです。
散骨であれば、民間事業者でも実現できるのですが、散骨は法律としてはグレーゾーンであるので、また違う壁に当たることになってしまいます。
慣習の壁
二つ目の壁は、慣習の壁です。
「創業当初は、ある山で散骨事業として進めており、近隣住民への理解が必要だったのですが、簡単に「イエス」とは言ってもらえませんでした。」
お墓や葬送関連の施設は、「お宅の近くにできます」となると抵抗がうまれがちです。at FOREST様の事業でもそれは同様で、その地域に住まう方たちの理解が得にくく、むずかしいところがどうしてもあったといいます。
壁を越えるためのパートナーシップ
この法律と慣習の壁の二つを乗り越えるために選んだ方法は、パートナーシップでした。
はるか昔から人の生と死に向き合う寺院とのパートナーシップ。里山や地域で新しいことに挑戦されているお寺や、新しいことへ理解のある住職の方に連絡を取り、at FOREST様の想いに共感された方々とパートナーシップを結ぶこと。
このパートナーシップで法律の規制と、地域の理解も得られるようにしたことで、2つの壁を乗り越えて、前に進めることができるようになったといいます。
そんななかで、森林保全活動を行っていたご住職との出会いがあり”お寺だけではなかなか森に手を入れ続けることはむずかしい。でも、事業を通じて森が守られるなら”と理念が合致したことで大阪の能勢妙見山に第1拠点を開設。その後、第二拠点として千葉にも広げることができました。
未来へつながる葬送に
さて、at FOREST様の循環葬®︎では、”後世のために”持続可能な森を未来に残すことにも取り組んでいらっしゃいます。

大阪の寺院さんも、千葉の寺院さんも、広大な森を所有されておられますが、人の手による維持管理が行き渡らなくなり、森は荒れてしまっていました。これは、日本の森、里山や人工林ではよく見られるものです。

写真は、千葉の森を整備される前のものです。数十年前に植林されたヒノキのほとんどが枯死しており、多様性のない森だったそうです。
こういった森に人の手を入れ、整備することで、陽の光が届いて風通しのよい健やかな森へと、生まれ変えることができます。

こちらは、at FOREST様にて整備をされた後の写真。散策のできる遊歩道も整備されて、トレッキングや森林浴に行きたくなるような森に生まれ変わりました。
2025年の現時点では、まだ整備したての赤ちゃんの森ですが、ながい年月を重ねて移植や植樹した木が育つとともに、森に暮らす鳥や動物が種を運んだり、地域の木が生えてきたり。さまざまな木が適切に入り乱れることで豊かな森へと育っていきます。そして、100年200年とながいながい年月をかけ、その地域に元々存在していた森に近い状態へと育っていき、人の手を必要としない自然循環する森へと変わっていきます。
未来志向のお墓という考え方
お墓の中にはウッドチップが敷き詰められた遊歩道や、下の写真のようなウッドデッキも整備されていており森林浴も楽しめます。
こうしたお墓なら、訪れる人にとっても自然と足を運びたくなる場所になるでしょう。

自分のお子さんやお孫さんが自然豊かなところで過ごす時間、そして自分の命が未来にどういう影響を与えられるのか?
これまでの一般的なお墓と同様の先祖供養の場でもありながら、これまでの慣習にとらわれないお墓として、新しい選択のひとつになれるように。“未来になにをのこし、何をのこさないのか。”
「自分がいなくなった後で、お墓や家に縛られるなど子供達に負担をかけたくない」「お墓や家制度を遺すのではなく、森を未来に残すことで、自分の選択が家族だけでなく未来のために役に立てる」
循環葬を選んだお客様の声からは、未来を担う人たちへの思いやりを感じます。
森と人をつなぐグッズづくり
「私たちの理念と非常に親和性が高いと感じています。」
at FOREST様が記念品づくりで考えたことは「使い捨てるものではなく、末長く一緒に過ごせて森を感じられるもの」ということ。
ステッカーや食品のような消耗品ではなく、長く手元に残り、使うたびに森を思い出せる存在であることが重要でした。
そんななかで今回、私たちでお作りさせていただいのは、循環葬 RETURN TO NATUREをご契約をされたお客様へお配りする木製のペーパーウェイト。
丸くころんと、かわいらしいデザインに仕上がっていて、インテリアとしても喜ばれているといいます。

ちなみに、大きい方が人用、小さい方はペット用。循環葬ではペットと一緒に眠れるプランもあるそうです。私も猫を飼っている身として、死んだ後も一緒にいられることはとてもうれしく注目しています。
手元で自然とつながるという体験を届けたい
契約される方は高齢であったり、遠方に住まわれたりで、現地に足を運べない方もいらっしゃいます。
そんななか循環葬®︎では、「現地に行ってお墓参りをすることだけがお墓参りだとは考えていない」といいます。森の方向に手を合わせたり、故人やその場に心を寄せるだけで“お墓参りになる”とお客様に伝えていらっしゃいます。
「森に行けなくても、日常生活の中でこの森を感じられるように。これが私たちのグッズに込めた思いです。」
小池様も初めて見たとき『とても美しい仕上がり』と感動されました。
日常のインテリアにもなるデザインで“森と日常をつなぐ”という想いをグッズを通じて体現できているとうれしいです。
まとめ 循環葬が描く未来
「一人ひとりの選択が未来をつくる」
お墓という人生最後の大きな選択。その選択が納得のいくものであり、未来に良いインパクトを残せるものであってほしい。
これまでのお墓や家の慣習では、特に女性は「結婚した家のお墓に入るのが当たり前」とされて、自分の意思を反映できないことも多いのも事実。小池様もその違和感を強く経験したといいます。
だからこそ、自分で選び、自然に還り、未来につながる新しい形を提示したい。その想いがしっかりと凝縮された、新しく明るい未来のための選択。そのひとつとして、
「人生最後の大きな選択を、未来にとって意味のあるものに。」
循環葬®︎を通じて描かれる未来へ、強い希望を感じたインタビューでした。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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